ボリュームゼロの状態で弦を弾き、そこから音量を上げることでアタック感のないフワッとした音を奏でる「ボリューム奏法」。
バイオリン奏法とも呼ばれるこの奏法は、楽器本体のボリュームノブや、足元のボリュームペダルでコントロールするのが一般的です。
それをお手軽にできる「ボリュームスウェル」などと呼ばれるエフェクターが存在するわけですが、まとまった情報が全然ないので、そういった「自動ボリュームペダル」とでもいうべきエフェクターの情報をまとめました。
ボリュームスウェルエフェクターについて
私はベーシストですが、「ベースでボリューム奏法なんかするか?」というツッコミに関しては、アンソニージャクソンについて書いたこちらの記事の最後のほうをお読みいただければと思います。
チェロみたいな質感の音になるんで是非試してみていただきたい。

さて、この手のエフェクターの元祖といえばBOSSのSG-1 Slow Gearです。
1979年発売、1982年生産終了と短命に終わりましたが、ボリューム奏法にあまり向かないレスポール系ギターのユーザーを中心に、局所的な人気があったと聞きます。
同種のエフェクターの多くがスローギアを元ネタにしているらしく、コントロールの名称こそ違いますが、だいたい「音の立ち上がりのボリューム変化」と「入力感度」を調整できる仕組みになっています。
では以下、現在でも手に入るものを紹介していきます。
中国メーカーのミニサイズエフェクター
この手のミニエフェクターは探せば同種のものが色々出てくるので、代表的なものを紹介するに留めます。
こういうのはやっぱりMOOERから、SLOW ENGINEです。
サウンドハウスで安く買えるものとしてROWINのSLOW HANDというのもあります。

TC Electronic / CRESCENDO AUTO SWELL
かつてはBOSSのコピーといえばBEHRINGERで、SLOW GEARコピーのSM200 SLOW MOTIONというモデルがありました。
その後継モデルとして、TC Electronic名義でベリンガーの一部製品を再編した「Smorgasbord of Tones」シリーズのラインナップにCRESCENDO AUTO SWELLがあります(※TCは2015年にベリンガーの親会社であるMUSIC Groupに買収されている)。
「安いのでいい」かつ「ミニサイズは嫌だ」という方に。
Electro Harmonix / ATTACK DECAY
エレハモは過去製品をバージョンアップして復刻することが多く、デジタルエフェクターとして復活したATTACK DECAYもその一つです。
こちらは和音検出のポリフォニックモードを搭載、従来のアナログ回路では不可能な表現を可能にしています。
さらに、ファズやプリセット機能まで内蔵しています。
これを簡略化・小型化したPICO ATTACK DECAYもあります。
Electro Harmonix / POG2
で、単体機としてはATTACK DECAYが真打ちのような感じなのですが、実は既存のエフェクターの中で最強のボリュームスウェルを備えているのはエレハモの多機能オクターバーであるPOG2です。
ちょっとこの部分だけを分かりやすく抜き出した動画が見つからなかったので、YouTubeに動画を投稿してしまいました。
直撮りのクソ音質で申し訳ないですが、機能面の凄さは十分伝わると思います。
この記事の前半で紹介しているアナログのエフェクターでは、このような芸当は100%不可能です。
DRY FXのボタンを赤のLEDが光るように押したうえ、DRY OUTPUTとATTACKのスライダーを調整するだけで、この徹底的についてくる和音対応のボリュームスウェルが得られます。
正直言ってATTACK DECAYよりもPOG2の方が良いです。
1つの事実として、ギタリストのKurt RosenwinkelはPOG2(のボリュームスウェル)の愛用者であることが知られています。
彼は現行のATTACK DECAYを一度導入していたのですが、そのATTACK DECAYは後にいくつかの機材と一緒に売りに出されています。
これもPOG2のボリュームスウェル性能の高さを示すエピソードのひとつと言えるかもしれません。
【追記:これを買え】Electro Harmonix / Pico Swello
と言っていたら2025年、待ちに待った「POG2のボリュームスウェル機能を抜き出したミニサイズ単体機」が発売されました。
もうこれで間違いないです。全自動ボリューム奏法がしたい人はPico Swelloを買ってください。

というわけで、スローギアの遺伝子を受け継ぐエフェクターを紹介しました。
思い通りにボリュームを操るならやはりボリュームペダルが一番いいのでしょうが、「微妙に早いタイミングで音を鳴らしつつ足で音量を操作する」というのはやはりなかなか難しいので、このようなエフェクターを使ってみるのも一つの解決策かと思います。


