Squierの6弦ジャズベースを7弦化し、ヘッドレスユニットを用いてブリッジ側でチューニングするよう改造しました。
ネタ改造のようですが、自分にとって必要な要素を満たそうとした結果こうなってしまいました。
あわせてコントロール構成も変更しました。
Squier Affinity Jazz Bass VIへの不満
この6弦ジャズベースの概要については以前に書いています。

そこでも触れましたが、この楽器にはいくつかの不満点がありました。
ヘッド落ち
多少ヘッド落ちに配慮したと思しきパーツ構成とはいえ、6弦ベースともなると、ヘッド落ちによる演奏性の悪さは無視できません。
また、4.5kgという重量も個人的にはもっと軽くしたいところでした。
ノイズの問題
自宅で音を出した際にも気になっていたことですが、スタジオで演奏した際にかなりノイズが酷く、対策が必須でした。
高音域が物足りない
一般的な6弦ベースというのは、4弦ベースに低音・高音とも弦を1本ずつ追加したものです。
しかし、トラディショナルなFenderベースの仕様上フレット数は20であり、6弦ベースでありながら「24フレットの4弦ベースの半音上のG♯」が最高音です。
それはさすがにちょっと…
コントロールが不便
「手で音を切ったあと即座にボリュームをゼロにできる」というのは自分の中で重要度が高く、2ボリュームゆえ音を消すのに手間がかかるのは(それこそがジャズベースの持つ個性であるとはいえ)デメリットでした。
とはいえボリューム調整の機能自体は欲しい。
そもそも私は音作りに自由度がありすぎると迷子になるタイプなので、ピックアップのミックスを細かく調整できる必要はなく、コントロールはもっとシンプルでよいと考えました。
楽器の持ち味を活かした改造プランを考える
以上の問題点をまとめて解消したいとなると、改造の方向性はおのずと絞られます。
一番大掛かりな改造が必要になるのはやはり音域の問題です。
ローBチューニングを維持したまま高音域を拡張するにはフレットを増やすか弦を増やすしかないわけです。
さて、私は初めてベースを手にした中学生の頃からピック弾きが好きで、フレットレスを指で弾いているのはむしろ例外的な取り組みと言えます。
ベースをピックでガシガシ弾く際には24フレット近辺の指板エンドが邪魔に感じることがあり、一方この20フレットという仕様は気を遣わずピックで弾ける点でメリットとなります。
また、今までスラップという奏法を真面目に練習したことがなく、このベースを入手してから20年越しにスラップに取り組んでいるのですが、プルのやりやすさのうえでもフレットが少ないことは利点です。
この「指板エンド〜フロントピックアップ間の空間の広さ」に起因するプレイアビリティは、自分にとってジャズベースならではの優位性と捉えられるものです。
その特性を維持するため、今回は多フレット化ではなく多弦化する方針としました。
多弦化には単に音域拡張にとどまらないメリットもあります。
これは好みの問題ですが、私はエレキギターやベースのハイフレット特有のサスティーンの短さというか詰まり感が好きではないのです。
ゲージが細い高音弦にも特有の弱点はありますが、ハイC弦24フレットの音よりも、ハイF弦19フレットの音の方が自分にとってはより音楽的に聞こえます。
というか、そうでなくとも私はもともと超多弦楽器の見た目が好きなのです。
ここ最近は7弦以上のベースを所有していなかったので、多弦化という選択肢が頭に浮かんだことで、どうあってもこいつを無理なく無理矢理7弦ベースに魔改造したくなってしまいました。
Fender王家の異端児ぶってるガキを徹底的に尊厳破壊してやるよ…
たりきこうぼうに依頼
とはいえ、多弦化改造となるとナットを一から作らなければなりません。
さらに、元々の弦間ピッチが17mmと若干狭いことから、ベース用とギター用の独立ブリッジを組み合わせる等の工夫も必要と予想できました。
こういった改造は経験のない領域です。
そこで今回は、配線周りの作業も含め、たりきこうぼう田力氏に作業を依頼しました。
私の雑な思い付きを現実的な形にまとめていただき、予算の都合も勘案して、最終的に「安価なヘッドレスパーツを用いてヘッド側のチューニング機能を廃する」という方針に決まりました。
その結果がこれです。バッチリ!

せっかくヘッドレスの機構を備えるなら、ヘッドは切断してしまう方が可搬性の面でメリットがあります。
「ギターのケースに収まる」というのは、通常のヘッドレスベースが持つ大きな強みです。
ですが、Fender社が正当な権利を有するヘッドシェイプを丸パクリするメーカーも減ってきた昨今、本家に敬意を表して今回はそのまま残すことにしました。そのほうが尊厳破壊っぽいし。

ナットに近い3本分を固定するヘッドピースは底上げされており、ナット進入角がビシッと揃っています。

目的の一つだったヘッド落ち改善も大成功。
重量は4.5kgから4.2kgと、少し軽量化にもなりました。
予算の都合で安価なパーツを使って組んでいただきましたが、操作性にはプレイヤー目線での配慮が行き届いており、さすがの一言です。
低音側のベース用ブリッジは落とし込まれており、高音側3本がギター用のブリッジです(※当然弦もギター弦)。
ギター用ヘッドレスブリッジは、ベース用と比べるとどうしても径の小ささに起因する回しにくさが否めませんが、ベアリングにより動作自体は非常にスムーズです。
弦間ピッチは一般的な「弦の中心から中心」ではなく「弦の端から端」でおおよそ揃うようにしていただき、結果として低音域の弦間をなるべく確保。
高音弦にいくほど狭くなっていきますが、演奏上の違和感は十分に許容範囲内です。

コントロールは、マスターボリューム・トグルスイッチ・トーンとしました。
私が必要だと感じている3ポジションは「リアのみ・パラレル・シリーズ」だったのですが、3wayトグルスイッチを使う場合「リアのみ」は真ん中になるとのことだったので、個人的にギターのレスポールと同じように感じる操作性を狙って「奥でパラレル(バッキング用)、真ん中でリアのみ(アルペジオ等)、手前でシリーズ(ソロ用)」としました。
あわせて銅箔シールドも施行いただき、ノイズは大幅に軽減しました。
私は普段であれば「多少見栄えが雑になろうとDIYでやっちゃおう」派なのですが、今回の改造はその範疇を大きく超えており、プロに頼んで正解でした。
トラディショナルなFenderベースからすると一発ギャグのような見た目になりましたが、サウンドはまさに「ただ弦が7本あるだけの普っ通のジャズベの音」です。
ジャズベース警察がいたら逮捕どころか無裁判で絞首刑にされそうですが、道具としての利便性は格段に向上しました。
今作っている楽曲は別のフレットレスで弾く前提ですが、今後の演奏の機会ではヘッドナシヘッドアリのルパさんを名乗ろうこのジャズベースも積極的に使っていこうと思います。
追加のDIY改造:床置きシステム
一部のヘッドレスベースは、壁に立てかけたときに、ブリッジのチューニングノブが床に接触してしまうのが難点です。
このベースも、かなり斜め気味に立てないとノブが床に当たってしまいます。
また、私が元々ジャズベースで嫌いな点として、左右非対称のボディシェイプゆえに元々床置き時の安定性が悪いという不満もありました。
その改善のため、低音弦側ストラップピンを少し高さのある足に置き換え、高音弦側にストラップピンを移設することにしました。
入手しやすいものとしてはゴム足が手軽ですが、ゴム製のものを付けるのに何となく抵抗があったので、プラスチック製の足を探して良さそうなサイズのものを発見。

ストラップピンは高音弦側にある方が演奏時のバランスとして好きなので結果オーライです。
ただ、それでもまだチューニング用ノブが床に触れてしまうので、ノブを削ってベース用ブリッジ4つのお尻を揃えることにしました。
かなり硬く大変でしたが、鉄工ヤスリでゴリゴリ削り、最終的にこのような形になりました。

これで不要な気を使う手間がほぼなくなりました。
ストラップをかけて構えてもストラップをシールドに通しても、チューニング機構に当たる等の問題は起こりません。
これで一通り「道具として(もちろん最低限の気を使いつつ)適当に扱える」という状態になりました。

