【ギター】S by Solar AB4.6C-E

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現在私が所有している唯一のギターは、サウンドハウスが取り扱っている「S by Solar」の中でも最も安いモデルです。
S by Solarは、Ola Englundが立ち上げたSolar Guitarsの廉価版ブランドです。
エントリークラスの楽器でも3万円を切るものは少なくなっている昨今、このギターは2万円台で販売されています(※本記事作成時点)。

そもそもS by Solarの立ち位置とは?

Solarの下位ブランドであるS by Solarのギターは2023年2月頃に販売が開始され、当初はごく限られたマーケットに投下されていました。
スタート時のメイン市場はブラジルだったようで、Ola自身によるアナウンス動画もありました。

このS by Solarの取扱いをサウンドハウスが開始した2023年10月の時点では、ポルトガル語圏やロシアのYouTuberギタリストが動画で取り上げていた一方、英語によるレビューは全く見つかりませんでした。
ともあれ、私はこのギターが日本に入ってきた際、興味本位で即座に購入しました。

本家Solarとのスペック比較

私が所有しているのは、「AB4.6C-E」という、最も安価かつスタンダードなノントレモロ6弦のモデルです。

ケースは付属しません。
付属品としては、オマケ程度のシールドと、トラスロッド・弦高調整用の六角レンチがついていました。

このギターを、本家Solarのギターのカタログスペックと比較しながら見ていこうと思います。
→S by Solarのギター(安い順)
→Solar Guitarsのギター(安い順)

ここでは、本記事作成時点でサウンドハウスに掲載されている中から、見た目が似ている「A2.6C」を比較対象とします。

※私はSolar Guitarsの現物を触ったことはないのですが、2015年頃にイシバシ楽器で取り扱っていたWashburnのOla Englundモデル「Parallaxe Solar」は弾いたことがあり、当時かなり真剣に購入を検討していました。

ヘッド

ヘッドにはシンプルに「S」のロゴ。
リバースヘッドと相まって精悍なデザインです。

ヘッド裏にはMADE IN CHINAの表示。生産国は中国です。
シリアルナンバーと合わせてシールが貼ってあるだけです。
ペグはノーブランド品ですが精度は悪くありません。

なお本家のSolarはほとんどがインドネシア製で、上位モデルのみヨーロッパ製(現在はスペイン)のようです。

ネック・指板

S by Solarのネック材ですが不明です。
塗り潰し塗装なので、どのような木目なのか、何プライでどのように接がれているのかも分かりません。
こうなるとネックの強度は運任せですね。経過を観察したいと思います。

指板素材はテックウッド。
なのですが、「テックウッド」と呼ばれる素材には、安価な木材を重ねて接着した積層材や、木粉と樹脂を混ぜて固めたものなど複数あるようです。
こちらは木目の向きに線が見えますが手触りに樹脂っぽさもあり、ちょっと正確な判別はつきません。

あのSolar特有のインレイはさすがに無く、小さめのドットインレイが打たれています。
また、フレットはジャンボフレットとのことですが、詳しくないのですがジャンボフレットでもっとでかいのがある気がするので、いわゆるミディアムジャンボぐらいでしょうか?

一方Solar A2.6Cの方は、メイプルネックにエボニー指板となっています。
他に黒染めローズウッドやリッチライトを採用しているモデルもあります。
Solarは少し前に「エボニー指板が割れた」という話が出たりもしていましたが、そうでなくともエボニーは管理が難しい印象があるので、「真っ黒な指板が好きなら人口素材で全然いいのでは?」と個人的に思っています。SDGsの世の中でもありますし。
ちなみに、Solarの中でも蓄光ポジションマークやステンレスフレットを採用しているのは上位モデルのみです。

なお、スケールはいずれもスタンダードな25.5インチとなっています。

ボディ周り

S by Solarはボディ材も不明です。
だいぶ軽いのでバスウッドかポプラあたりでしょうか。
最近だと他の代替材もありえそうです。

ピックアップは「Solar Designed High Output Humbuckers」とのこと。
実質ノーブランド品のようにも思えますが、安ギターでポールピースまで黒いのは珍しいですね。
なお、ダイレクトマウントではなくエスカッションマウントになっています。これはダイレクトマウントの方がかっこいいなあ。

ブリッジはHipshotっぽい機構(側面に壁があるのでサドルが過度に横ズレしない)の結構がっしりしたものが付いており、見た目はSolarに近いです。
ブリッジミュート時の手の当たり具合が痛くないですし、弦高を下げたサドルからイモネジが妙に飛び出すようなこともなく、安ギターのブリッジとしてはかなり好印象です。

コントロールは1vol、1tone、3wayスイッチです。

バックパネルのネジが少ないのはいいとしてネジ留め位置がなんかおかしいような…
これは本家Solarも同様のようですが、経年で角が浮いたりしたら嫌ですね。

蓋は外しにくく、吸盤を使って外しました。
配線はまあ値段なりですかね。
ちょっと接触が悪いかな?と思ったら配線がジャックに接触していたので、取り回しだけちょっと整えました。

ストラップピンは大き目のタイプのものがホーン裏側にあります。

これに対し、本家SolarのA2.6Cは、マホガニーボディにDuncanの「Solar」ピックアップをダイレクトマウント。
コントロールは1vol、1tone、5wayスイッチとなっています。
こうして比較すると、やはり3wayスイッチのSの方がエントリークラスとして初心者に向けた仕様になっていると言えそうです。
(※本家Solarにはトーンなしのモデルも多数存在します。)

弾いてみたレビュー

「ベーシストが家で弾く用に入手したギター」という用途なので、あまり詳しい説明はできない点ご了承ください。

まず正直、多少の「中国の工場で作られた量産工業製品」感はあります。
AliExpressのノーブランド品ほど粗悪な部分はないですが、Gio IbanezとかBlitzとか、ESP系列のKaalenaとか、「エントリーモデルよりももう一段下のブランドで展開しているギター」を触ったことがある方にはニュアンスが伝わるでしょうか。
うまく説明できないですが、あの「ちょっと手入れしてあげたら楽器になる」というか、あと一歩仕上がりきっていない印象を受けます。
ナット弦高にやや高さを感じますし、フレットの表面はザラザラで、角も立っています。

とはいえ、個体差はあるでしょうが音詰まりするポジションはほぼなかったですし、指板側面のチクチクもありません。
メンテナンスの心得がある人なら、少し手を入れるだけでだいぶ弾きやすくできそうです。

ネックの握りは案外薄くなく、指板はフラット気味。
全体が艶消しブラックなので、ネック裏もサラサラです。
これは個人的には好きですが、触るところだけ艶が出やすいのはデメリットと感じる人もいますかね。

あと独特のボディカットのおかげでハイポジションが弾きやすいのが凄く良い!
「左手の小指や手刀部分がカッタウェイにぶつかってしまう」というストレスが全然ありません。
裏側(親指側)はボルトオンネックなぶん普通ですが、これがスルーネックだったら極めてプレイアビリティが高いだろうなと思います。

重量は体重計計測で約2.8kg。
過去に所有していたギターと比べても軽い方のように思います(ベーシストなので余計に軽く感じます)。
ただそのぶん、ボディバランスはヘッド落ちの傾向が強いです。
まあこれは座って弾くぶんにはさほどマイナスにならないですね。

ピックアップは以前持っていた安ギターと比べてハイパワーです。
サウンド的には、あんまり現代的なタイトな音よりは少し前のメタルっぽいかもしれません。DuncanでいうならNazgulじゃなくてDistortionというか…
でもトレブルのジャキジャキ感、ピッキングのアタックまでしっかり出せて、安ギターにありがちなもっさりした音のハムバッカーと比較すればかなりキレのあるサウンドです。
本職ギタリストの方の好みはあまり分からないですが、交換前提の人も多いであろう一方、「これはこれで好き」という人も一定数いそうな気がします。

現在はエリクサーの7弦ギター用セットを6弦抜き(010、013、017、026、036、056)で張り、ドロップBチューニング(全弦1音半下げ+6弦のみさらに1音下げ)で運用しています。
先に書いた通り、もともとナット弦高が高かったこともあり、太い弦を張っても大丈夫なよう近所のリペアショップでナット溝を加工してもらいました。
安ギターにしてはダウンチューニングでも変に音がぼやけず、やはりメタル向きの音を志向してピックアップが選定されているものと思われます。

総評

今の時代にこれで2万円台なら十分すぎるほどアリです。本当に。

「買った瞬間からちゃんと楽器」というわけではないですし、通販のデメリットも込みで考える必要は当然あります。
とはいえ、メタラー的に刺さるデザインで、かつ若い方やサブギター的な用途で気軽に手が出せる価格のギターは意外とないので、多少の調整を加えたうえで使い始める前提であれば十分にオススメできます。
実際、ナット弦高の調整をしたことで格段に弾きやすくなりました。

「幅広いジャンルに対応できる」という条件付きであれぱ、もう少し予算を出してBacchusあたりが選択肢になるかもしれません。
しかし、メタルを弾きたいのであればこのギターはコスパ抜群といって間違いないと思います。
このクオリティで7弦やVシェイプでも3万円台というのはかなりアリです。

なお、私が買ったモデルに関してはギターケースが付属しないのですが、サウンドハウスは本家Solarのケースも扱っているので、(本体に比して高価にはなりますが)せっかくならSolarのケースというのもいいかもしれないですね。

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