細かいイコライジングで、音質補正に便利なベース用プリアンプです。
MXRサイズでありながら緻密な音作りができるという点において、非常に完成度が高い一台だと思います。
18V駆動でありながら電池でも駆動可能です。
コントロールの特徴
MXRサイズに多くのコントロールが詰め込まれていますが、状況に応じた音作りをするうえで非常によく考えられています。
音の変化はこちらのオフィシャル動画が分かりやすいです。
簡単に説明すると、Tri-logic Bass Preampはインプットゲインとアウトプットボリュームを備えた3バンドイコライザーです。
これだけ書くとシンプルなものに感じますが、多くのコントロールを備えており、非常に細かい音質調整が可能になっています。
まずは、HI GAINとNORMALを選択するミニスイッチ。
NORMALモードだとナチュラルな音質のプリアンプで、私はだいたいNORMALモードで使うことが多いのですが、HI GAINモードにすると歪みエフェクター的にも使えます。
「ハイゲイン」という名前ではあるものの、実際には激しく歪むものではなく、軽いオーバードライブぐらいの歪み加減です。
ただ、これが「いかにもエフェクターで歪ませた感じ」ではない渋い感じの歪みなのです。
あえて泥臭いサウンドを狙ったり、ハイファイ系のベースをオケに馴染ませるような使い方にも向いているかもしれません。
そして、GAINとVOLUMEで基本的な音質を決定します。
説明書によると、「GAIN最小、VOLUME最大がセッティングの基本」らしいのですが、そこからGAINを上げていくと、音量の増加とともに自然な太さとツヤが加わっていきます。
逆に、GAIN低めでVOLUMEを上げていくと、癖のないフラットな音質のまま音量が上がります。
このバランスに関してはベース本体の出力によって変わってきますが、まずはここで好みの音質を探ることになります。
それからイコライザーセクションですが、ベース・ミドル・トレブルそれぞれにおいて、調整する周波数を選べるのが最大の特徴で、ブースト・カットする周波数は、ベースは40Hzか80Hz、トレブルは4kHzか8kHzから選択可能です。
そして、ミドルは250Hz~3kHzの間でシームレスに周波数が選べるパラメトリックイコライザーになっています。
このTri-logic Bass Preamp 3はその名の通り3代目ですが、旧バージョンではここまで細かい調整はできませんでした。
音作りのコツ
音作りの際は、MIDDLEを最大までブースト(or カット)した上でFREQUENCYをぐるぐる回すと、「ブーストしたい帯域」もしくは「カットしたい帯域」を簡単に見つけることができます。
その上でMIDDLEを適宜調整し、BASSで音の太さを、TREBLEでアタック感を追い込むのがいいと思います。
私の基本セッティングとしては、FREQUENCYを3時ぐらいの位置にしたうえで、MIDDLEをブースト。
そして、ライブのときはスッキリした硬めの音を出したい派なので、BASSは40Hzを少しカットし、TREBLEは4kHzを少しブーストしていました。
40Hzというのはかなり低い音域なので、カットしてもベースらしさは意外と損なわれません。
また、トレブルの4kHzはアタック感をうまく強調してくれます。
8kHzはエレキベースのイコライザーとしてはあまりに上の帯域過ぎるので、ノイズ対策目的でカットするような使い方が有用でしょう。
縁の下の力持ちとして優秀
このサイズでこれだけ的確な音質補正ができるエフェクターは案外ありません。
内部昇圧で18V駆動されているのが効いているのか音に張りがあり、ノイズも少なかったです。
(※内部のスイッチで9V駆動に切り替えることも可能。歪みエフェクターとして使用する場合等、9Vの方が歪み感が強くなるのでそっちの方が好みという方もいるでしょう。)
強いて言うなら、ミニサイズのつまみが採用されていて、暗いステージでは見にくいというのが欠点でしょうか。
とはいえ、プリアンプに「ガラッと音を変える」ことを求めない人には強くおすすめしたいです。
前バージョンのTri-logic Bass Preamp 2は中古で安く手に入りますが、前述の通りここまで細かい調整ができないので、やはり現行の3がおすすめです。