前回のレコーディング時点では手探り初心者すぎて気付いていなかったのか、あるいは何らかの要因で新たに発生したのか不明ですが、DAWでギターを録音する際に「メトロノームの音が一緒に録音されてしまう」というトラブルに見舞われました。
私の知識では完全な原因特定まではできなかったものの、最終的に解決することはできました。
このクリック音混入の前提条件と、実際に行った対処を記録として残しておきます。
自分でも「そんなのある?」 と思った
私は以前購入したPreSonus製STUDIO 24C(オーディオインターフェース)とSTUDIO ONEで楽曲制作をしています。
この機種に関連して色々と困ったことがあったのは以前にも書いたとおりです。

そして今回新たに判明した(※「新たに発生した」のかどうかは正直不明)のが、ギターやベースを繋いで録音したデータに、メトロノームのクリック音が混ざって聞こえるという大問題です。
もし自分がこのトラブルに遭遇していなかったら、「DAWでギター宅録してたらクリックの音がなぜか一緒に入っちゃうんだよね…」と言っている人を見ても「いやそんなわけないやろ」と思っていたでしょう。
「どうせ間違えて再生の時にメトロノームONにしたままとかじゃない?」と。
ところが、実際に同じ機種で、同じ症状が出ている人の質問がYahoo!知恵袋にありました。

色々と検索キーワードを変えて調べてみると、オーディオインターフェース・DAWを問わず、同種の悩みはネット上に複数あります。
そして、もれなく「そんなことはありえない」という回答がついていました。
あるんだよ。
可能な範囲での検証
検証のため、まずは手持ちの範囲で本当にあらゆる組み合わせを試しました。
なお、スピーカーは置き場所がないので使っておらず、モニターは常にヘッドホンです。
・エレキギター/ベース(※いずれもパッシブ回路)で録音したオーディオトラックに小さくだがクリック音が間違いなく混ざっている。
・ハイゲインアンシミュを通すと明らかにクリック音が目立つようになり、「一度気付いてしまうとずっと気になる」レベル。
・2つあるインプットの両方でクリック音の混入が発生する。
・長いシールド、短いシールド、シールド線材の違いに関係なく、手持ちのシールド全てで混入する。
・長いシールドを繋いでめいっぱいパソコンから離れても変わらない。
・ヘッドホンでも別のイヤホンでも変わらない。
・バッファーとして機能するエフェクターを経由した接続であればクリック音の混入は有意に小さくなるが、それでも歪ませると混入が分かってしまうので対策として足りない。
・エレアコ(※アクティブ)を使った時は混入しない。
・XLRケーブルでマイクをつないだ場合は混入しない。
・ループバックはソフト側で管理されており、その設定に関係なく混入したままである。
メーカーにも問い合わせましたが、「クリック音がピックアップやシールドケーブルに拾われ、録音データに混入する可能性はある」との回答がもらえた(=確かに実際にありえるのだ!) のみで、解決策は得られませんでした。
ChatGPTの力を借りる
こうなると自分でいくら考えてもどうにもならないし、自力で切り分けられない問題を詳しい人に聞いて時間を奪うのもな…と考えた私は、問題解決にChatGPTの助けを借りることにしました。
私は基本的にAI生成によるテキストを信用しませんが、「事実と異なる回答を寄越すことがある」という特性を理解したうえで使うなら便利なものです。
今回は、あくまで原因の切り分けと追加の検証方法の提案をひたすら出させる目的でChatGPTを使いました。
結果、「オーディオインターフェース本体の設定をダイレクトモニタリング100%にした状態で録音する」等のいくつかの追加検証を行うことができました。
それらを踏まえて出力された回答は、以下のようなものでした。
・ノイズの主因として、ギターのパッシブPU+ケーブルが高インピーダンスのまま、外来高周波を電気的に受信してしまう(アンテナ化)ことが推察されます。
・「入力のハード経路(A→ADC)がクリーンで、DAW/PCから戻る再生経路が関与している」ことを強く示します。もしインターフェース内部で常時ハード側に漏れているなら、ダイレクトモニタでも録音に同じ混入が出るはずです。
・「インターフェースの内部ルーティング(あるいはドライバ経路)で、再生が入力へ混ざる/回り込む状態になっている」が最も説明力が高い仮説です。
そして、解決策として提案されたのはアクティブDI(ダイレクトボックス)の導入でした。
さっき「AIの回答は信用しない」と書いたところですが、「バッファーを通してインピーダンスを下げると混入が改善する」「バランス出力のマイクでは混入が起こっていない」という点からも、DIの導入が最も確実性が高いのだろうとは推察していました。
DIの選定
そうと決まれば何を買うかです。
正直、予算には余裕がないので安く済むに越したことはないのですが、だからといって「安物を買ったら効果がなかった」というのは避けたいところです。
となると、一定のリセールバリューが見込めることも(普段はあまり気にしないし、それを理由に物を選ぶのも好きではないですが)一つの基準となります。
それに、当然「せっかく追加の機材を導入するなら音質が良い方向に変化するものがいい」という気持ちもあります。
候補としては大枠で3つ。
とにかく安いのはサウンドハウスのCLASSIC PRO CDI-1Aです。
ただ、公称スペックで出力インピーダンス>600Ωというのは、単純比較するものではないとはいえ、普通のバッファーを使った時との比較検証においてちょっと不足感があります。
定番かつ比較的安価なものから選ぶなら、BOSSのDI-1でしょう。
中古品の流通も多く、入手も売却もしやすいと思いますし、出力インピーダンス>200Ωというのも悪くなさそうです。
そして、ここ最近よく高評価を目にして気になっていたのが、Rupert Neve DesignsのRNDIです。
正直これはどう考えても予算オーバーだったのですが、ちょうど最近、新製品として小型版のRNDI-Mというのが発売されていました。
複雑な機能は必要ないですし、出力インピーダンス>40Ωというスペックかつ小さいサイズで自分の環境にも合うことから、こちらを導入することにしました。
RNDI-Mによって得られた結果
結論から言うと、RNDI-Mによって今回の問題は一発で解決しました。
あれだけ悩まされていたクリック音の混入を、見事に遮断することができました(爆音でも聞こえず、波形にも現れない)。
これは完全解決と言っていいでしょう。

実際にはもっと安いDIでも解決した可能性がありますが、ちょっとしたコンパクトエフェクター程度のサイズ感でどこにでも置ける利便性に加え、ギター/ベースのサウンドに与える変化も良い方向のものです。
RNDI-Mを通さない状態の音と音量を揃えても、エッジ感がある整理された音になったと感じます。
あまり音が変わらないコンプレッサー等のエフェクターにほとんど興味を示さなかった私が「これはかなり良いぞ」と感じるぐらいですから、さすが多くのプレイヤーが高く評価しているだけのことはある製品ということなのでしょう。
また、定期的にネット上で議論になる「宅録にDIは必要か?」というテーマについて、今までは「オーディオインターフェースにはHi-Z入力があるのだからDIなんて無意味」派の回答を支持していたのですが、これについても立場を変えざるを得ません。
サウンド面で有意な変化があったことも含め、私個人としては今後「Hi-Z入力の手前のDIはあってもいい物だよ」派でやっていきます。
元々買う予定のなかったものであり、実はそのために他の私物を売る羽目にもなりましたが、それだけの価値はあったと思います。

