エフェクターの接続順について考える記事を書いてみることにしました。
今回は「歪み」と、オクターバー・ピッチシフターといった「ピッチ変化系」のエフェクターの接続順を取り上げます。
ついでに、需要はないでしょうがワーミーとオクターバーの接続順についても、実際に使っていた時の体験をもとに紹介します。
ピッチシフターは一番先頭?
若い頃に読んだ雑誌か何かで、「ピッチを変えるエフェクターは、入力される信号の音程がはっきりしていなければならない。そのため、一番クリーンな状態の音を入れるのがよいので、オクターバーやピッチシフターは最初に配置すべき」みたいなことが書いてあったのを記憶しています。
ですが、今試しに適当に検索してみたところ、歪み系とピッチ系のエフェクターの接続順については意見が分かれているようです。
私は過去にファズとPOG2とワーミーの同時使用をしていた時期があるので、接続順ごとのメリット・デメリットを書いていこうと思います。
実際に試した結果
最初、理屈で考えた私はこう仮定しました。
「オクターバーやピッチシフターを通した音は、なんだか作り物くさくてバンドサウンドに馴染みにくい。ならば、ピッチ系エフェクトの後に歪みをかけることで、多少なりとも自然な感じの音になるのでは?」と。
しかし、好みの問題もありますが、一定以上激しく歪ませると言う前提であれば、「ピッチ系→歪み」という順番はおすすめできません。
まず、「POG2→歪み」という接続順の場合。
POG2で作った5オクターブに及ぶ重厚な音を歪ませると、せっかくの強烈なエフェクトが歪みの効果でぼやけてしまいます。
和音を深く歪ませるとコード感が出ないのと似たような理屈です。
一方、「歪み→POG2」だと、「歪んだ音を元に上下オクターブ音を生成する」ということになるのですが、このとき出てくるオクターブ音は、元になる歪んだ音の影響を受けて、歪んだシンセのような音になります。
普通の歪み音に加えて、歪んだオクターブ音がしっかり分離して出てくるのです。
この方が、エフェクターの効果としては明確です。
同様に、ワーミーと歪みの組み合わせについても、「ワーミー→歪み」という順番にしてしまうと、ワーミーのペダルを踏みまくってウィンウィンとピッチを上下させても、せっかくのトリッキーな効果が分かりにくくなってしまいます。
ここでも歪みを先に置き、「歪み→ワーミー」の順番にすることで、ワーミーのピッチベンドを最大限生かすことができます。
ワーミーとオクターバーの接続順
では、ワーミーとPOG2はどっちが先でしょう?
POG2を先に置いて「POG2→ワーミー」と繋ぐなら、必然的にワーミーには単音ではなく和音の信号が入るので、ワーミーを和音対応のCHORDSモードにしておく必要があります。
しかし、そうするとワーミーの反応速度が遅くなってしまい、音色も大きく変化するので、実用的ではありません。
逆に「ワーミー→POG2」の順番にして、ワーミーを単音入力対応のCLASSICモードにしておけば、POG2による強烈な和音を思い通りのタイミングでギュインギュインとピッチベンドできます。
ピッチ系エフェクターを2台繋ぐだけあって多少レイテンシーは気になりますが、それでも飛び道具としては十分実用範囲内の検出速度です。
ということで、この場合の接続順は「歪み→ワーミー→オクターバー」が個人的な最適解でした。
「試してみてください」と書いて本当に試してみてくれる人がいるのか分かりませんが、物好きな方の参考になればと思います。