エフェクターの接続順について、今回は歪み系エフェクターとフィルター系エフェクターの組み合わせです。
なお、あくまでも「入力に応じて自動でワウがかかるエンヴェロープフィルター(オートワウ)」を念頭に置いたものです。
なお、歪みとペダルワウの組み合わせについて調べている方には役に立たない記事かと思います。すいません。
接続順の基本ルールとデメリット
基本原則として、エフェクターを複数同時に使うときは後に繋いだエフェクターの効果が強く出ます。
私は基本、歪みエフェクターで思いっきり深く歪ませる前提なので、「エンヴェロープフィルター→歪み」という順番で接続した場合、せっかくの「ワウワウ」いっている音が歪みで完全に消えてしまいます。
なので、私はいつも「歪み→エンヴェロープフィルター」という接続順にしていました。
ところが、ここでエンヴェロープフィルターが抱える問題点が出てきます。
エンヴェロープフィルターは、入力信号(楽器からエフェクターに入ってくる音)の大きさに応じてフィルターが開閉することにより、「ワウッ」という音が出るエフェクターです。
そのため、入力信号が大きすぎたり、サスティーンが長すぎたりすると、フィルターが開いたままになって「ピャオオオ~~~」というような間の抜けた音になってしまいます。
そうならないように、多くのエンヴェロープフィルターには入力感度を調整するつまみ(GAIN、SENSITIVITY等メーカーによって名称は違う)が備わっているわけです。
ここで歪みエフェクターを併用すると何が起こるか。
エンヴェロープフィルター単体で歯切れよく「ワウ!ワウ!」とフィルターが閉じるようなセッティングにしていても、歪ませた後に繋ぐとフィルターが閉じず、「ビャアアアア~~~」という全く違う挙動になってしまうという現象が起こります。
「なら歪みと組み合わせる前提で音作りをすればいいのでは?」と思うかもしれませんが、歪みエフェクター特有のノイズの問題(音を止めても「サーッ」というノイズは消えないので、そのノイズにエンヴェロープフィルターが反応してしまう)もあり、どんなに頑張ってもエンヴェロープフィルター単体のときと同じような歯切れのいいフィルター効果を出すのは難しいのです。
歪み内蔵の機種を使うという選択肢
この現象を避けたい場合は、歪みを内蔵したエンヴェロープフィルターを使うという方法があります。
エレハモのENIGMAなど、この手の複合機種はフィルターの開閉が歪みに影響されないような設計になっています。
好きな歪みを使いたい場合
では、「お気に入りの歪みエフェクター」と「エンヴェロープフィルター」を組み合わせて使いたい場合にはどうすればいいか?
この問題を解決する機能を備えたフェクターがいくつかあります。
例えば、エレハモのQ-Tron Plusや、3Leaf AudioのGR2など、センド/リターンの端子に歪みエフェクターを挟むことで、歪んだ音にフィルターをかけることができるものもあります。
また、PIGTRONIXのEP2のように、スプリット(パラレル出力)されたクリーン音をトリガーインプットに入力することで、歪みの後に繋いでもしっかりフィルターが作動する仕組みのものも存在します。
トリガーインプットは一度使うと、全てのエンヴェロープフィルターに搭載してほしくなるぐらい便利です。
ほかにも、歪みエフェクターのノイズをノイズゲートで消す(あるいはノイズゲートを内蔵した歪みを使う)という方法でもある程度の対策が可能です。
ただ、歪みとフィルターを直列で繋いだ「ビャオオオオオ~~」という音もそれはそれで面白いですし、好きな人も多いと思うので、色々試してみていただければと思います。