1999年のこと、私が初めて買ったエフェクターがODB-3でした。
ずいぶん前に手放してしまいましたが、最近でも一定の人気があるようです。
正直、「ベーシストが最初に買うべきエフェクター」としては適切ではないと思うのですが、替えのきかない魅力を持ったエフェクターです。
サウンドの特徴
今の若いプレイヤーを羨ましいと思うのが、「安くて良いエフェクターがたくさん出回ってるし、情報も手に入りやすい」という点です。
私がベースを始めた頃には、安いエフェクターなんて樹脂製の筐体で壊れやすいものがほとんど。
また、動画サイトもありませんから、試奏できなければ音の情報はメーカーの説明文や雑誌のレビュー記事を読むしかなく、通販でエフェクターを買うなんてのは完全にギャンブルでした。
現物を試奏しようにも、田舎の楽器店にはメジャーなものしか在庫していないので、「何かベースのエフェクターを買ってみよう」と思ったらBOSSぐらいしか選択肢がなかったのです。
で、このODB-3ですが、有名どころだとRed Hot Chili PeppersのFLEAが愛用していました。
Around The Worldのイントロ、まさにこの音です。
大体どこの楽器屋にも置いてますし、「はじめてのエフェクターにオススメ」みたいな事を書いているサイトや雑誌も見かけますが、個人的には初心者だけでなく、ある程度エフェクターの扱いに慣れた人にこそ使ってほしいエフェクターだと思っています。
音色の特徴についてはこちらの動画が分かりやすいです。
コントロールの特徴
コントロールは、最終的な音量を調整するLEVELに、HIGHとLOWのイコライザー、原音と歪み音のバランスを調整するBALANCE、そして歪みの深さを調整するGAINの計5つ。
ベース用の歪みエフェクターに必要と思われるコントロールが揃っており、音作りの勉強にもなりそうですが、色々なところで書かれているとおり「オーバードライブ」という名前の割りにバカほど派手に歪みます。
GAINを上げていくと、ジリジリというかバリバリした粒の粗い音になり、イコライザーでHIGHをブーストすれば耳に痛いような強烈な音を出すことができます。
扱いの難しさ
ただ、この派手な歪み音、一人で音を出すぶんにはかっこいいんですが、音抜けはいまいちです。
「ギタリストが歪ませてる!負けないようにベースも派手に歪ませよう!」という中学生的な思考で導入すると、バンドで鳴らしたときに自分の音が聞こえず、「こんなはずでは…」という結果になりがちです。
それこそレッチリのように、ギターがそこまで歪んでいないバンドで使うとか、あるいはギターやドラムが静かなときに、ここぞとばかりに飛び道具として使うのが正解ではないか、と個人的には思っています。
実際、先ほどのレッチリの曲でも、ボーカルが入るとODB-3はOFFになっているのが分かります。
ODB-3の音色は他ではなかなか出せないもので、最初は扱いづらいと感じてしまった私は一度売却してしまったのですが、数年たってから「これはこれで面白いな」と思ってまた買ってしまいました。
「優等生的な使いやすい音」とは対極にある独特なエフェクターですが、中古の流通量も多いので、食わず嫌いで敬遠している人にこそ是非試してみてほしいです。