【私の体験談】精神障害3級の発達障害が住宅ローンを組めた話

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ADHDやASDといった発達障害と診断された場合、精神障害者手帳を申請するかどうかを考える際に「障害者手帳を取ったら住宅ローンが通らなくなる」という話が気になる人は多いと思います。
SNSでは「家を買いたいなら心療内科には行くな」という言説すら散見されますが、それは病気の治療の放棄であり、私は同意できません。
実際に住宅ローンを通すことに成功した事例として、私自身の住宅購入の経緯をここに記録しておきます。

精神科通院などでローンを通す難易度が上がること自体は事実です。
また、条件が一つでも違えばローンの結果も変わってくる可能性が高いと思われます。
住宅ローン借入の可否は、地域性や個人の属性、物件の価格によって全く結果が異なることを踏まえ、本記事はあくまで個人的な体験談であることをご了承ください。

住宅購入時の私の属性

私は30代で発達障害の検査を受け、ASDの診断で障害者手帳3級を取得した男性です。
その当時は大きく体調を崩しており、職歴にも2年ほど穴がありました。
これにより、私自身、診断がついた時には「もう自分の名義で家を買うことはできないんだろうなあ」と思っていました。

その後、35歳のときに障害者雇用で働き始めました。
以降は多少の波はありつつもそれなりに健康に過ごせています。
また、入社当初は契約社員でしたが、約3年の勤務を経て正社員登用に成功し、現在に至るまでその会社で働いています。

今回住宅を購入した年齢は39歳です。

近所に事故物件が出た

まず最初に、これは実際に購入したのとは別の物件の話なのですが、このタイミングで家を買うに至ったきっかけを書いておきます。
近所で出ていた妙に安い中古物件を買おうとして失敗したことで、私は不動産仲介会社を選定するうえで重要な気付きを得ることになります。

私は奈良県に住んでいます。
大阪などの都市圏と比べれば、不動産価格の相場は当然だいぶ安いです。

しかし、私が住んでいる地域の最寄り駅は、大阪の一大ターミナルである難波へのアクセスも良好な急行停車駅。
ベッドタウンとしての人気から、周辺地域よりも不動産価格がかなり高く、家族向けの戸建で駅近ともなれば中古でも3000万円を大きく超えることが珍しくありません。

他方、初めに書いたとおり、私は障害をオープンにして働いています。
障害者雇用としては比較的ましな給与額とはいえ、それでも30代後半にもかかわらず、年収は新卒の頃と大差ありません。
そんな属性では、3000万円クラスの住宅ローンはそもそも通らないのです。

幸いにも在宅で働けているので、自分一人であれば不便な場所への引越しも考えたでしょう。
しかし、子供が既に小学校に通っているため、転校せずに済む範囲で引越しを検討せざるを得ません。
結果、この不動産価格の高い地域で家を探そうにも、新築は言うに及ばず中古でも手が出せる物件が全然ないので家が買えない状況が続いていました。

そんな折、当時住んでいた賃貸マンションのすぐ近くに、築十数年で2000万円以下の中古戸建が出ました。
近隣ではめったに見ない価格です。
この値段なら少々の難があっても納得と思い、私はこの物件の仲介業者であるS友不動産に内覧希望の連絡をしました。

この物件が「告知事項あり」。
前に住んでいた方が自ら命を絶った、いわゆる事故物件だったわけです。

一度目の住宅ローン失敗

先に書いた通り、私はS友不動産でこの事故物件を買おうとしたものの、住宅ローンを通すことができませんでした。
購入の申込みでは私が一番手だったにもかかわらず、二番手の人に買われてしまったという結果でした。
実のところ、これはS友の担当営業の若い兄ちゃんに文句があります。

私は自身の障害者手帳や通院状況などについて、最初から包み隠さず伝えていました。
5年前に精神障害者手帳を取得して現在の会社で働き始めたこと、正社員に登用されてからはまだ2年にもならないこと、通院を続けているが最近は薬を飲まずに生活できていることなどです。

しかしS友の営業氏は、それに応じた検討や提案も特になく、「まあ年齢と年収からしたら普通にこのへんでいけると思いますよ」と4つの金融機関へのローン申込を勧めてきました。
それがM井S友銀行、Rそな銀行、近畿の地銀であるK銀行という3つの銀行の住宅ローンと、フラット35でした。

結果、銀行の審査はいずれもローンの仮審査まで通ったものの、団信で引っ掛かってしまいました。
団信(団体信用生命保険)というのは、「契約者の死亡時などに残債がなくなる死亡保障付き生命保険」のようなもので、住宅ローンを組む際には必須です。
障害を理由に団信に加入できないということは、すなわち住宅ローンが組めないのです。
M井S友銀行からは「診断書を出してもらえたらいける可能性があります」とのことでしたが、通院している精神科で診断書を貰うには1ヶ月ほど必要であり、言われて即座に出せるようなものではありませんでした。

なお、前述の通り私は発達障害の検査を受けた精神科に定期的な通院を継続していますが、ここ数年は服薬をしていません。
後に発行された診断書にもその旨が記載されていました。
「薬なしでそれなりに体調を維持し、就労を継続できている」というのは一定程度大きなポイントなのではないかと思います。

さらに、私はフラット35について「金利が高い代わりに団信がいらないもの」と認識していたのですが、S友の営業氏はよりによってわざわざ団信ありのフラット35を選定していたため、当然こちらも審査が通りませんでした。お前マジで何してんの?
この営業氏は、私が言うまでワイド団信(※金利が上がる代わりに加入条件が緩和される)の提案等も一切してくれませんでした。
そうこうしているうちに、売主の「早く売りたい」という希望もあって、普通にローンが通る属性である二番手の人に買われてしまったというわけです。

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【余談】事故物件に住むということ

この安い物件が買えなかったのは残念でしたが、内覧に行ったあとに妻が語った懸念を考えると、「買えなくて結果的に良かった」と感じる面もあります。

妻が口にしたのは、「自殺に使われたと分かっている部材を撤去できるか」という疑問。
あくまで例ですが、仮に「亡くなった方が首を吊った梁を撤去したい」と思っても、建物の構造上の強度を出すために必要な梁であれば、いくら気分が良くないとしても切断するわけにはいきません。
その判断のためには費用をかけて検査しないといけないですし、仮に撤去できたとしても、その切断面をどう処理するのか?
そこだけ壁紙を貼るのか、周辺含めて全て壁紙を貼り替えるのか。

この問題が一旦クリアになったとしても、住んでいるうちに「ここが気になる」「これも気になってきた」と、不安感が際限のないストレスになることは容易に想像できます。
「家族全員がそういうことを永遠に一切気にしない」という確証でもない限り、実際に事故物件に住むのは困難なのでしょう。

地場の仲介業者は大手とは全く別物だった

上記の経緯から、私は「高い買い物は『人から買う』ものだ」という、昔からよく言われていることの意味を痛感しました。
「持病がある人の住宅ローンを通した経験がある営業さん」、そうでなくとも「提案力がある営業さん」に当たっていれば、違う結果になっていた可能性は十分あるわけです。
とはいえ大手の方が強い局面も当然あるでしょうから、「自分は大手にとって良い属性の顧客ではなかった」と認識すべきでしょう。

そんな折、不動産情報サイトを眺めていると、別の物件を掲載していた地場の不動産仲介業者の営業文句が目に留まりました。
「豊富な実績で住宅ローンに自信あり!他社でNGだった方のローン通過の事例も豊富!お気軽にご相談ください」

ちょうど時を同じくして見かけた物件が、駅から少し離れるしボロい(築40年)し床が傾いてるけど1000万円以下(!)の中古戸建です。
このボロ家をフルリフォーム前提で購入することにつき、私は「この不動産屋ならもしかして」と考え、一度相談してみることにしました。

結果、ここの営業氏は大当たりでした。
質問に対する回答で「まあ大丈夫だと思います」などと適当な返事をしてくることはなく、確証がないことには「それは何ともお答えできないですね」と言ってくれました。(こちらの方が誠実な対応といえます。)
診断書についても、「M井S友銀行に出す用に診断書を手配していた?それはそのまま取得してもらった方がいいですね。こちらで申し込むローンで役立つかもしれません」というアドバイスもしてくれました。

こちらで提案してくれた住宅ローンは、先のK銀行とは別の近畿の某地銀。
本審査には丸1ヶ月近くかかりましたが、言われていた通りに診断書の用意をしておいたことも奏功し、団信含めて無事ローンが通ったのです。
これにより、完全に諦めていた不動産購入に39歳にして漕ぎ着けることができました。

ちなみに、通った金額は約2000万円が上限。
男性正社員サラリーマンとしては低い金額だと思います。
実際のところ、床が傾いているボロ家のフルリフォームには若干金額が足らず、一部の工事は後回しになってしまいました。

ともあれ、これでようやく子供に個室を与えることができます。
デス声のレコーディングも賃貸よりはやりやすくなるでしょう。
リフォームに時間がかかるので引っ越しは少し先になる見込みですが、これでDTM環境も少しづつマシにできればと思っています。

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