【発達障害家を買う】精神障害者手帳と住宅ローン

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「精神障害者手帳を取ったら家が買えなくなる」という話を聞いたことがある人は多いと思います。
私自身、発達障害で障害者手帳3級を取得したことで、「もう自分の名義で住宅ローンを通すことは不可能なのでは?」と思っていました。
しかし、今回無事に住宅ローンを組むことができ、中古戸建を買うことに成功しました。
似たような境遇の方に何か少しでも役立てばと思いますので、前提条件含めて色々書いてみようと思います。

条件が一つでも違えばローンの結果も変わってくる可能性が高いと思われます。
住宅ローン借入の可否は人によって全く結果が違ってくる点をあらかじめご了承ください。

近所に事故物件が出た

これは実際に購入した物件の話ではないのですが、このタイミングで家を買うに至ったきっかけの1つなので、初めに近所で売りに出ていた妙に安い中古物件について触れておきます。

私は奈良県に住んでおり、当然と言えば当然なのですが、大阪などの都市圏と比べれば中古住宅価格の相場はだいぶ安いです。
しかし、私が住んでいる地域の最寄り駅は、大阪の一大ターミナルである難波から30分程度の急行停車駅のためベッドタウンとして人気が高く、周辺地域と比べると不動産価格はかなり高めです。
家族向けの戸建で駅近ともなれば、中古でも3000万円を超えることが珍しくありません。

現在は在宅で働けていることもあって、自分一人であればいくらでも不便な場所に引越せるでしょう。
しかし、私は子供が既に小学校に通っているため、転校せずに済む範囲で引越しを検討せざるを得ません。
結果、この不動産価格の高い地域で中古物件を探しても、手が出る物件が全然ないという状況が続いていました。

そんな中にあって、住んでいる賃貸マンションの近くに1700万円の中古戸建が出ました。
めったに見ない価格ですし、築20年としては綺麗だったので、この値段なら少々の難があっても納得と思い、私はこの物件の仲介業者であるS友不動産に内覧希望を問い合わせました。
するとこの物件が「告知事項あり」、前に住んでいた方が自ら命を絶ったいわゆる事故物件だったわけです。

住宅ローン失敗

先に結論を書くと、私はS友不動産でこの事故物件を買おうとしたものの、住宅ローンを通すことができませんでした。
購入の申込みでは私が一番手だったにもかかわらず、二番手の人に買われてしまったという結果でした。

実のところ、これはかなりの割合でS友の担当営業の若い兄ちゃんの失態です。
私は自身の障害者手帳や通院状況などについて、最初から包み隠さず伝えていました。
5年ほど前に精神障害者手帳を取得したこと、その後現在の職場で働き始めたが正社員に登用されてからはまだ1年半程度であること、薬は飲んでいないが通院は続けていることなどです。

しかしS友の営業氏は、それに応じた検討や提案を特にすることもなく、「まあ年齢と年収からしたら普通にこのへんでいけると思いますよ」と4つの金融機関のローン申込を勧めてきました。
それがM井S友銀行Rそな銀行、近畿の地銀であるK都銀行の住宅ローンと、そしてSBIアルヒのフラット35でした。

結果、いずれの銀行の審査でもローンの仮審査までは一応通ったものの、団信で引っ掛かってしまいました。
団信(団体信用生命保険)というのは、「契約者の死亡時などに残債がなくなる死亡保障付き生命保険」のようなもので、住宅ローンを組む際には必須です。
障害を理由に団信に加入できないということは、すなわち住宅ローンが組めないのです。
M井S友銀行からは「診断書を出してもらえたらいける可能性があります」とのことでしたが、通院している精神科で診断書を貰うには1ヶ月程度は必要であり、言われて即座に出せるようなものではありません。

なお、私は発達障害の検査を受けた精神科に数か月に1回程度の通院を継続していますが、服薬はしていません。
後に発行された診断書にもその旨が記載されていました。
「薬を飲まずに就労を継続している」というのはポイントとして大きいのではないかと思います。

さらに、私は「フラット35というのは『金利が高い代わりに団信がいらないもの』だ」という認識だったのですが、S友の営業氏はよりによってフラット35をわざわざ団信ありで申し込んでいたため、当然こちらも審査が通りませんでした。お前何してんの?
この営業氏は、私が言うまでワイド団信(※金利が上がる代わりに加入条件が緩和される)の提案等も一切してくれませんでした。
そうこうしているうちに、売主の「早く売りたい」という希望もあって、普通にローンが通る属性である二番手の人に買われてしまったというわけです。

【余談】事故物件に住むということ

この安い物件が買えなかったのは残念ではありましたが、内覧に行ったあとに妻が語った懸念を考えると、「買えなくて結果的に良かった」と感じる面もあります。

妻が気にしていたのがどういう話かというと、「自殺に使われたと分かっている部材を撤去したい」という点です。
しかし、(あくまで例ですが)例えば「亡くなった方が首を吊った梁を撤去したい」として、建物の構造上の強度を出すために必要な梁であれば、いくら気分が良くないとしても切断するわけにはいきません。
その判断のためには費用をかけて検査しないといけないですし、仮に撤去できたとしても、その切断面をどう処理するのか?
そこだけ壁紙を貼るのか、周辺含めて全て壁紙を貼り替えるのか。

この問題が一旦クリアになったとしても、住んでいるうちに「ここが気になる」「これも気になってきた」と、不安感が際限のないストレスになることは容易に想像できます。
「家族全員がそういうことを永遠に一切気にしない」という確証でもない限り、実際に事故物件に住むのは困難なのでしょう。

地場の仲介業者は大手とは全く別物だった

上記の経緯ののち、私は「高い買い物は『人から買う』ものだ」という、昔からよく言われていることの意味を痛感していました。
「持病がある人の住宅ローンを通した経験がある営業さん」、そうでなくとも「まともな提案力がある営業さん」に当たっていれば、違う結果になっていた可能性は十分あるわけです。

そんな折、別の物件を掲載していた地場の不動産仲介業者の営業文句が目に留まりました。
「豊富な実績で住宅ローンに自信あり!他社でNGだった方のローン通過の事例も豊富!お気軽にご相談ください」

ちょうど時を同じくして見かけた物件が、見た目けっこうボロい(築30年)し床が傾いてるけど1000万円を切る中古戸建です。
このボロ家をフルリフォーム前提で購入することにつき、私は「この業者ならもしかして」と考え、一度相談してみることにしました。

この仲介業者の営業氏が大当たりでした。
質問に対する回答で「まあ大丈夫だと思います」などと適当な返事をしてくることはなく、確証がないことははっきりそう言ってくれました。
診断書についても、「M井S友銀行に出す用に診断書を手配していた?それはそのまま取得してもらった方がいいですね。こちらで申し込むローンで役立つかもしれませんし」というアドバイスもしてくれました。

ここで提案してくれた住宅ローンは、先の地銀とは別の近畿の地銀であるK陽銀行と、保険としてオリックスのフラット35。
本審査を申し込んでから「診断書を出してください」と言われたこともあり、本審査に丸1ヶ月近くかかりましたが、言われていた通りに診断書の用意をしておいたことも奏功し、K陽銀行で団信含めて無事ローンが通ったのです。
これにより、完全に諦めていた不動産購入に39歳にして漕ぎ着けることができました。

ちなみに、通った金額は約2000万円が上限。
30代の男性正社員サラリーマンとしては低い金額だと思います。
実際のところ、床が傾いているボロ家のフルリフォームには若干金額が足らず、外壁塗装や外構工事は後回しになってしまいました。

ともあれ、これでようやく子供に個室を与えることができます。
デス声のレコーディングも賃貸よりはやりやすくなるでしょう。
リフォームに時間がかかるので引っ越しは少し先になる見込みですが、これでDTM環境も少しづつマシにできればと思っています。

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