以前愛用品として紹介したギターアンプ、VOXのMINI5 Rhythmは生産が終了してしまいましたが、その後VOXは新製品として「MINI GO」シリーズを発売しました。
3種類あるうちの10WモデルであるVMG-10 MINI GO 10はMINI5にかなりスペックが近いので、今回実際に購入したうえ、機能面の比較を行いたいと思います。
(※なお、私はベーシストであり、あくまで本来の製品趣旨とは完全に異なる「練習用ベースアンプ」としての観点であることにご留意ください。また、当記事でMINI5との違いを全て網羅しているわけでもありません。)
旧製品「MINI5」について
私はMINI5 Rhythmを「ギターベース兼用アンプ」のようなものとして愛用してきました。

MINI5は、6.5インチスピーカー搭載で、出力は0.1W、1.5w、5Wの3種類から切り替え可能です。
様々なアンプモデリングを搭載していますが、そのうちのLINEモードがベース用アンプとして期待以上の使い勝手の良さで、私は自宅練習用のベースアンプとしてこれをいろんな人におすすめしていました。
新製品「MINI GO」シリーズ
そのMINI5の後継製品と言えるのが、新しいMINI GOシリーズのうち10ワットモデルのVMG-10 MINI GO 10です。
こちらも6.5インチのスピーカーを採用し、3段階の出力切り替えが可能です。
出力の切り替えはワット数表記ではなく、1/100、1/10、FULLという表記になっています。
おそらく0.1W、1W、10Wという感じでしょうか?
数値は異なりますが、体感的にはMINI5と比べてさほど音量差があるようには感じませんでした。
MINI GO 10にはMINI5になかった新機能もありますが、良い点も悪い点もあるというのが正直な感想です。
今回は、個人的に感じたいくつかのポイントをMINI5と比較しながら紹介しようと思います。
傾けたセッティングが可能
まず、練習用アンプとして非常に良いと感じたのが、いわゆるティルトバックセッティングが可能な点です。
キャビネット底面に、このように折りたたみ式の脚がついています。
これにより、アンプを床置きしていてもスピーカーを自分に向けることができ、椅子に座って聞き取りやすいような角度でセッティング可能です。
ただ、これには欠点もあり、脚をしっかり開いておかないとバランスを崩して後ろに倒れてしまいかねないので注意が必要です。
壁際に置く等の安全策は心がけた方がいいでしょう。
(※倒れてもアダプターを挿した付け根が破損しないよう、ちゃんとガードがついています)
内蔵エフェクトの変更・ルーパー機能の追加
エフェクトの変更点としては、コンプが無くなった代わりにオクターバーが入りました。
ベースの低音域にはさすがにうまく効きませんが、自宅練習アンプのおまけ機能としては面白いです。
モジュレーションはフランジャーが無くなってフェイザーに変更されています。コーラスとトレモロは残留。
また、空間系のエフェクトは、アナログ風のディレイ、くっきりしたデジタルディレイ、スプリングリバーブに加え、MINI5ではルームリバーブだったのがMINI GO 10ではホールリバーブに変更されました。
そしてエフェクト面での大きな変更点が、ルーパーが搭載されたことです。
ルーパー機能のフル活用には別売りのフットスイッチがあった方がよさそうですが、ループの長さを自動でリズムマシンに揃えてくれるクオンタイズ機能に加え、ループ再生中にリズムマシンを起動すると自動でループの長さに合わせたテンポ設定をしてくれるような機能も備えており、かなり遊べます。
リズムマシンの仕様変更
リズムマシンのパターンのバリエーションについては、MINI5は各ジャンルのリズムにつき9種類、全99種類のリズムパターンが内蔵されていましたが、MINI GO 10は各リズム3種類の33種類に大きく減っています。
まあ、従来の99種類というのはリズムパターンを全部聴いて選ぶだけでも一苦労だったので、種類が減ったことが必ずしも改悪とは思いません。
ただ残念なのが、テンポ調整がタップスイッチをポンポンと押すことでしか変えられない点です。
先に紹介したルーパーとの連携上の都合かとは思いますが、MINI5ではノブを回すことでリズムマシンのテンポが微調整できたので、「単純にリズムマシンやメトロノームに合わせて練習したい」という人にとっての操作性はMINI5の方に軍配が上がります。
EQ配置の変更
もうひとつ個人的に残念だったのが、イコライザーの並び順が変更されたことです。
LINEモードでは、GAINとTONEのノブが2バンドEQとして機能します。
MINI5では、GAINがLOW、TONEがHIGHのイコライジングでした。
しかし、MINI GO 10ではこれが逆になり、左からGAINがHIGH、TONEがLOWになっています。
これ、単に私が旧モデルの操作感に慣れているのもありますが、昔からイコライザーは左側が低音、右側が高音の順に並んでてほしい派なんですよね。
そうでなくとも「トーンコントロールがトレブルコントロールを兼ねる」というのは視覚的にも分かりやすかったので、細かいことではありますが、この配置に関してはMINI5の方が良かったと思います。
モバイルバッテリー接続可能
現代的なアップデートだと感じたのが、モバイルバッテリーで駆動できるという点です。
ただし、MINI5同様の乾電池駆動はできなくなっています。
総評
以上、今の時代に求められるスペックが強化された一方で、従来の簡便な使い勝手の良さが犠牲になった感も少なからずあります。
とはいえ、このコンパクトさに練習用アンプとして十分な機能を詰め込みつつ、この価格帯で、かつベースにも使える(くどい)というアンプはなかなかないので、自宅用アンプの選択肢としてかなり上位に来ることは間違いないと感じました。
楽器店によっては最初からフットスイッチを同梱して販売していたりもしますので、そういうものを選ぶのもありかと思います。