一人デスメタル楽曲の制作を進めているのですが、ここに来て(自分としては)大きな方向転換が入り、スケジュールがかなり崩れてしまいました。
ただ、「ドラムトラックを含めて自分で全部やっていると言い張る」かつ「ドラムを少しでもリアルにする」を実現するうえで必要な変更だと考えています。
人に説明するのに用語整理が必要な気もしたので、本記事でそのあたりをまとめておきます。
そもそも「打ち込み」の定義とは
いわゆる「ドラム打ち込み」というのは、「ドラムパートのステップ入力」や「入力した譜面の自動演奏」あたりを包含した概念だと思います。
ただ、違う解釈もあるようなので、私個人の言い訳の材料を兼ねて最初に整理しておきます。
ステップ入力というのは、DAWソフト上でマウスなどを使って譜面上に音符を置いてフレーズを作ることです。
これを再生することにより、自分で演奏できない楽器でもパソコンで鳴らすことができます。
アマチュアの音楽制作におけるドラム・打楽器はもちろん、管弦楽器などについてはプロの作曲家も含めて打ち込みで曲を作るのが一般化しています。
ギターやベースなどの楽器も含めて全て打ち込みで楽曲を制作している人も多いですし、ボーカロイドも要は「ボーカルの打ち込み」です。
このステップ入力という作業において、入力装置としてMIDIキーボード(鍵盤楽器の形状をしたもの)を使う場合があります。
マウスでポチポチやるよりも、慣れれば入力作業が大幅に楽になります。
で、詳しくない人からするとこのあたりがややこしいのだと思いますが、手元に鍵盤を置いて作業しているとはいえ、ステップ入力である以上は「実際に演奏しているわけではない」んですよね。
譜面に入力する作業に鍵盤を使っているだけで、これも「打ち込み」です。
パソコンでドラムを鳴らすけど「打ち込み」ではないもの
ステップ入力に対し、ソフトウェア音源を用いつつも「実際に演奏してレコーディングをする」のが「リアルタイム入力」です。
ピアノを弾ける人がDTMでピアノパートを演奏するなら、MIDIキーボードを用いてこのリアルタイム入力をすることが多いと思います。
ドラムパートにおいても、MIDIキーボードを使ったリアルタイム入力(鍵盤を押さえてソフトウェアのドラム音源を鳴らす、いわゆる指ドラム)という選択肢があります。
こういうものも含めて「パソコン上で音楽を作る=打ち込み」と捉える考え方もあるわけですが、個人的にはこれは打ち込みではないと思っています。
ここまでの内容を踏まえて、客観的に見た「ドラムの打ち込み」から「生演奏によるドラム録音」までの間には、おおよそ以下のようなグラデーションがあり、人によって解釈の幅があるわけです。
①ステップ入力(パソコンに演奏させるものであり、人力演奏ではない)
②MIDIキーボードやMIDIパッドによるリアルタイム入力(人間が演奏している)
③エレドラによる録音(MIDIでソフト音源を鳴らすならこれもリアルタイム入力)
④生ドラムをマイク録音
②を打ち込みと呼びたくなるのは確かにそうなのですが、③のエレドラでドラム音源の音を鳴らしてDAW上でレコーディングするのを打ち込みと呼ぶ人は少ないでしょう。
実のところ、②と③の間にはそこまで大きな差異はないとも言えそうです。
私がやろうとしているのは②の事後編集ありです。
しかも、「手パート」と「足パート」は別録りして後からくっつける(※ブラストビートとかツーバスは本当に無理)ので、相当ズルいやり方だと思います。
しかし、オートクオンタイズ(自動で正しいタイミングに合わせる)は決して使いません。正直リズムはブレブレです。
というところでギリギリ、何とかギリギリセーフで自力で演奏していることにしてもらえないでしょうか。
(ここまでを踏まえたうえで「いや、お前のそれは演奏じゃなくて打ち込みだよ」と言われたら受け入れるしかないが…)
実際にやってみた感想
ここから先は完全に自己正当化のための文章なのですが、実際のところ、「打ち込み」と「(ズルを駆使するといえども)リアルタイム演奏」はかなり別物です。
私は過去の作業で、「打ち込みの正確無比なテンポのドラム」に合わせてギター録音を進めてきました。
しかし、そのドラムパートをリアルタイム入力の指ドラム版に差し替えてみたところ、あまりにもタイム感が違いすぎて指ドラムと録音済みのギターがズレまくっているため、ギターパートを最初から録り直す羽目になってしまいました。
ベースとボーカルはまだ未着手だったのが幸いです。
実際のところレコーディングの途中でドラマーが下手糞に変わったようなものですから、作業のやり直しが発生するのも当然と言えます。
そのうえ、指ドラムは実際やってみると正直打ち込みの方が100倍楽という難しさで、思ったより苦労しています。
「年内にアルバム完成のうえサブスクでリリースする」という目標がやや怪しくなってきましたが、引き続き作業を進めていきたいと思います。
MIDIマッピングの変更
最後に、EZ Drummer3でMIDIマッピングを変更したときのメモです。
各タイコ・シンバルがどの鍵盤を押さえたら鳴るかのMIDI設定は好きなように変更できます。
「Settings」の「E-Drums/MIDI In」で設定可能ですが、これはドラムキットのセッティングとは別物であり、Fileの「Project」として保存しておかないと後から呼び出すことができません。
なお、MIDIキーボードのタッチでドラム音源の音の強弱を完全にコントロールするのは難しいです。
私は打鍵に対するベロシティの反応が「普通にメタルを叩くとき用(軽く鍵盤を叩いても大きい音が鳴る)」と「小さい音のパート用(小さい音~中くらいまでの音を打鍵の強さで調整できる)」を別々に使えるよう、2種類のMIDIマッピングで用意しました。
レコーディングの際は、1トラックの中で「通常のパワーヒット用のマッピング」と「弱音演奏用のマッピング」を共存させることはできないので、必要に応じてドラムが2トラックになる点に注意が必要です。
なお、私が使用しているMIDIキーボードは49鍵のKORG microKeyです。
それなりの多点ドラムキットで出したい音を(オクターブ上下させずに)網羅しようとすると、それぐらいの鍵盤は必要になってしまいます。
(microKEYシリーズは鍵盤が増えても重量が比較的軽いのが魅力で、現行のmicroKEY2-49は1.4kgとなっています。)
鍵盤のマッピングで「実際のドラムセットと似たような配置」を優先すると、フィルインのやりやすさが犠牲になります。
そこで、「スネアを中心に左右にシンバルを配置」「ハイハットのクローズ~オープンの叩き分け」「スネアの細かい叩き分け」「スネアを中心に左右にタムを配置」「バスドラム」という感じでコーナーを分けました。
こういうことをやるなら、64パッドのMIDIコントローラーでもあれば「よりドラム的な配置」として叩けて良いのでしょう。
今後また作業環境が変わったら改めて記事にしますが、今回はMIDIキーボードを使った方法で作業を進めていきます。




