10数年ぶりのDTM再開(というかほぼゼロからのスタート)でドラム音源を選定するにあたり、「なるべく安く済むこと」「簡単に打ち込みができること」そして「デスメタルのドラムとして十分な音が出せること」を全て満たす必要がありました。
最初は別のものを使っていたのですが、最終的に定番のEZ DRUMMERの現行版「3」を使って楽曲を作成しました。
自分と同じような初心者の方、あまり作業時間の取れない方に参考になればと思います。
昔のEZ DRUMMERの思い出
実は私は過去にDTMに挑戦(&すぐ挫折)した際にもEZ DRUMMERを使っていました。
2006年に発売された初代EZ DRUMMERは、私が試行錯誤しながらDTMをしていた2010年頃の時点で「初心者向けドラム音源の定番」という地位を確立していたと思います。
ただ、この画面を見てもらえば分かると思いますがまだまだキットの点数も使える音色も少なく、ユーザーの多くが拡張音源を買い足して使っていました。
画像引用元:クリプトン・フューチャー・メディア
今思えば、これが「必要な機能に絞った」「ミキサーで直感的に細かい調整ができる」「初心者にもやさしい」ドラム音源だったことは分かるのですが、それでも当時の自分にはハードルが高かったんですよね。
自由自在にフレーズを打ち込もうにもベロシティの調整等が難しすぎて、結局MIDIグルーブから妥協して選んだフレーズを「やりたかったのと違う…」と言いながら貼り付けていたのを覚えています。
KRIMH DRUMS FREEを使ってみたものの…
さて、2024年現在、DTMのソフトウェアは当時と比べればとんでもなく進化しており、無料でも高品質なものがたくさんあります。
ただ、自分の理想とするデスメタルドラムを打ち込むにあたり、外せない条件がいくつかありました。
「スプラッシュシンバルが使えること」、「チャイナシンバルが使えること」、「ツーバス連打が不自然にならないこと」の3点です。
特にバスドラムは、これは実際にメタルの打ち込みをやったことがある方でないと話が伝わらないことがあるのですが、リアルなバスドラの「んドスン!」という太い音が単体でかっこよくても、200BPMを超えるような高速16分連打を打ち込むと「んんんんんんんん」みたいなただ低周波が鳴ってるだけになってしまうことが昔はよくありました。
そこまで酷くなくとも、メタルのバスドラは「ベチン」という(場合によってはトリガーの効いた)強烈なアタックが必要なので、そこは妥協したくありませんでした。
と思っていたら、まさにうってつけの無料ドラム音源「KRIMH DRUMS FREE」がありました。
機能制限版でありながら、メタル用ドラムキットとしてのタイコ・シンバルの点数は十分です。
ただ、「金物の音をもうちょい大きくしたいな」と思ったりしてもミキサー機能にはアクセスできない等、全機能を使いたい場合は当然ながら有償版を購入する必要があります。
そして何より、やっぱりドラムの打ち込み自体が面倒なんですよね。
点数の多いドラムキットをDAWの画面上でポチポチやるのは大変だし、ベタ打ちではどうしても不自然になってしまう。
でもMIDIグルーブには頼らず、頭の中にあるフレーズをそのまま再現したい。
このあたりを何とか省力化しないことには、わずかな空き時間で自作曲を完成させるのは難しいと感じてしまったのです。
EZ DRUMMERふたたび
そこで「打ち込みが簡単にできるドラム音源」について調べていたら出てきたのが、またしてもEZ DRUMMERでした。
2014年に2が、2022年に最新の3が発売されていました。隔世の感があります。
EZ DRUMMER 3では拡張音源を何も買わなくても最初から3つの異なるドラムキットが収録されており、幅広いジャンルに対応可能。
中でもBright Roomのセットは3タム2フロア、クラッシュシンバル4枚にスプラッシュとチャイナという、十分メタルがやれるキット構成です。
音色もメタル方面に向けたものがしっかり収録されており、こちらは公式のショート動画ですが、これ、「Fundamental Metal」というプリセットそのままでこの音です。
そして、EZ DRUMMER 3の機能で何より感動したのがGrid Editorです。
このエディター上では各タム類やシンバル類が一まとめにまとまっており、ピアノロールで打ち込むよりも視覚的に物凄く分かりやすいうえ、エディター内の並び順を自分にとって分かりやすいよう自由に入れ替えることも可能です。
また、Humanizeオンの状態でGrid Editor上で打ち込むと、ベタ打ちでも勝手にかなりリアルな強弱をつけてくれます。
さすがにブラストビートにはあまり対応しきれておらず、ベタ打ちのままだと「スネアが高速連打扱い」かつ「裏拍で弱い音のはずだと判断されてしまう」という要因か、ちょっとスネアが小さすぎるうえに音量のバラつきがありすぎるのですが、これも「スネアを選択」→「ダイナミクスを均す」→「ベロシティを上げて音量を底上げ」という簡単3ステップで、一瞬でバランスを改善することができます。
こういう用途に特化した動画はさすがに見つからなかったので、説明も字幕もなしで画面をキャプチャしただけのものですが、YouTubeに参考動画をアップしてみました。
こうして作った数小節ごとのドラムパートをDAWにドラッグ&ドロップするだけで作業がサクサク進むので、ドラム打ち込みのスピードを一気に上げることができました。
具体的に言うと、一週間かけても仕上がらなかったドラムパートが2日で完成しました。
「バスドラムのピッチを下げる」「スネアのピッチを上げる」「クラッシュシンバルのピッチに高低差をつける」等、自分の好みに寄せた微調整により、当初の想定よりもクオリティの高いものができたと言ってしまえる仕上がりになりました。
強くこだわるならもっと細かく調整できる音源はいくらでもあるのでしょうが、とにかく時短したい、楽に作業を進めたい、でも打ち込み丸出しの嘘臭いドラムは嫌だという方にはEZ DRUMMER 3本当にオススメです。