過去に所有してきた中でもトップレベルに操作が難解だったものの、これでしか出せないサウンドが魅力のエフェクターです。
この一つ前の世代の機種であるEP1をVictor Wootenが使っていたようですね。
電源はDC18Vアダプター(※専用アダプター付属)、電池駆動不可。
特徴的過ぎるそのサウンド
フェイザーというと、LFO(モジュレーションエフェクトで用いられる周期的に揺れる仕組み)で「しゅわ~んしゅわ~ん」とうねるエフェクターです。
しかしこのEP2はそれだけではなく、エンヴェロープフィルターのように、弾くフレーズに応じて「シュワウッ!シュワウッ!」という音も出せるのが特徴です。
普通のフェイザーと「エンヴェロープフェイザー」の音、両方を組み合わせることもできます。
ベースで弾いている分かりやすい動画がなかったので、ギターでの演奏ですがこちらの動画を見てください。
13分あってかなり長いですが、キワモノ好きなら最後まで見てしまえると思います。
超複雑なコントロール
コントロールは、SENSITIVITY、DEPTH、CENTER、SPEED、RESONANCEの5つのノブと、STACCATO、EF SWEEP、BLEND、LFO SMOOTH、INVERTという5つのミニスイッチ。
そして、ON/OFFのフットスイッチに加え、エンヴェロープとLFOを切り替えるフットスイッチも備えています。
SENSITIVITYは入力感度です。
楽器の出力に応じて調整することで、オートワウ的に使うときに上手くワウワウいってくれるようになります。
DEPTHはフェイザーの揺れの深さの調整なのですが、BLENDスイッチがONのときは、エンヴェロープとLFOのブレンドを調整する機能になります。
CENTERは、フェイザーが揺れる周波数帯を調整するもので、下げるとフェイザーのエフェクト音が低音寄りの深い音に、上げると高音寄りの明るい音になります。
SPEEDはフェイザーの揺れのスピードです。
RESONANCEは上げるとフェイザーのエフェクトの効きが強くなります。私は基本全開でした。
STACCATOスイッチは、エンヴェロープフィルターのスタッカートモードのON/OFFです。
ONにすると、文字通りスタッカートで音を切ったときに、「ワウンッ」という感じではなく「ワウ!!」と瞬間的に一気にフィルターが閉じるようになり、スラップやギターのカッティングで効果を発揮します。
EF SWEEPスイッチは、フィルターの挙動を高音域に動くUPと低音域に動くDOWNから選択できます。
BLENDスイッチは、ONにすることでエンヴェロープフィルターとLFOが同時に効くようになります。
BLENDがONのときは、エンヴェロープとLFOを切り替えるフットスイッチは「エンヴェロープモード」と「エンヴェロープとLFOのブレンドモード」を切り替えることになります。
LFO SMOOTHスイッチは、ONにするとLFOモードのときにRESONANCEコントロールが効かなくなります。
これにより、「エンヴェロープモードのときはRESONANCE全開の派手な音を出しつつ、LFOモードに切り替えたときにはそのままのセッティングで滑らかなフェイザーの音が出せる」という使い方が可能になっています。
INVERTスイッチは、+側だとローパスによって低音域を強調し、-側だとハイパスによって高音域を強調します。
代替不能な凄さ
このエフェクター、私はエンヴェロ-プフェイザーのモードを目当てに購入したのですが、もう本当に素晴らしかったです。
パッと聴いた感じでは、あまりエグい音ではなく、ベース単体で弾くと物足りないのですが、バンドの中で使うと一気に映えます。
そもそもエンヴェロープフィルターというエフェクターは、音の一部をえぐり取るようなエフェクトですから、大音量の歪んだギターや激しいドラムとは相性がよくありません。
実際、その手のエフェクターの名演といわれるような演奏は、ベースがしっかり聞こえるファンク系の音楽が多いと思います。
しかし、エンヴェロープフェイザーはフィルターが閉じるときにフェイザーの「シュワオゥ」という音がついてくるので、一般的なオートワウ系のエフェクターと比べると音抜けが抜群に良いのです。
また、私はあまり使いませんでしたが、LFOモードにすれば、これ以上ないほど細かくフェイザーの音色を作り込むことができます。
そして強烈なのがブレンドモードで、セッティングによっては「シュワオウ!フワフワフワシュワオウ!フワフワフワ」というUFOが飛んできたような音(実際にそう言われた)を出すことも可能です。
トリガーインプットという便利機能
と、ここまで色々書きましたが、私がこのエフェクター最大のポイントとして何より感心したのは、EF TRIGGERというジャックの存在でした。
歪み→エンヴェロープフィルターという接続順で両方のエフェクターをONにすると、エンヴェロープフィルター単体で使用しているときと比べて、フィルター開閉の挙動が全く変わってしまい、歪んだ音で「ワウッ!ワウッ!」といってほしいのに、「わああああああ~」とフィルターが開きっぱなしになってしまうという難点があります。
しかし、EP2の場合、スイッチャーのパラレルアウトやスプリッターで分岐したエフェクトのかかっていない音をEF TRIGGERに入力することで、その信号を元にフィルターが開閉するため、歪みの後に繋いでもしっかり「ワウッ!ワウッ!」と歯切れ良くかかってくれるのです。
その他、エクスプレッションペダルを繋げばペダルワウとしても使える等、とにかく多機能なエフェクターです。
PIGTRONIX製品は代理店が神田商会からサウンドハウスに変わってからは楽器店に並ばなくなり、現在そのサウンドハウスでもほとんど在庫がないようですし、中古でもあまり見ないですが、本当に凄いエフェクターなので、見つけたら是非試してみてください。