私は色々あって音楽機材の大半を一度手放してしまったのですが、「安いのでいいからギターが1本欲しいぞ」という状況になったため、海外から安ギターを個人輸入しようと考えました。
以前から気になっていたものの、自分では買ったことがないギターとして、ドイツの楽器店ThomannのHarley Bentonがあります。
ところが、「これいいな」と思ったHarley Bentonのギターをよくよく見てみると、私はあることに気付いたのです。
本記事は2022年8月4日に下書きの作成を開始しており、特に注記がない限り、記事中での日本円表記は原則としてその時点で調べた金額となります。
1ドル133円台という円安の中での海外通販は全くもってお得感が少ないですが、ピーク時よりは多少円高に振れたことや、Schecter製品の大幅値上げのニュース等もあり、このタイミングでの決断となりました。
Harley Bentonの送料
Harley Bentonは、ネット上で「ドイツのPLAYTECH」などと呼ばれることもある安価な楽器ブランドです。
エフェクター類もラインナップしており、当ブログでも過去に某赤いスイッチャーと全く同じものを出している件でその名前を挙げたことがあります。
さて、私は今回7弦ギターを買うことに決めていました。
販売ページで7弦ギターを安い順にソートしたのがこちらです。
一番安いシンプルなものだと125ユーロ(≒16,976円)!
引用元:Thomann
ただし、当然ながらここに送料が乗せられます。試しに決済ページまで進み、配送先に日本を選ぶと、送料は76ポンド(※ユーロとポンドが混在しているので注意)と表示されました。
また、91.55ユーロかかるUPS Expressというオプションがあるのですが、どうもこれが「外せない」のか「付けられない」のか不明です(以下では一応金額に含むものとしますが、これの有無で1万円以上の差が出るので、ご存じの方がいらっしゃいましたら教えていただけたら記事内容を修正します)。
これにより、一番安いこの7弦ギターでも合計金額は308.31ユーロ(≒41,848円)。
こうなると激安というほどでもありません。
Harley Benton MultiScale-7
本体価格が安いほど送料が割高に感じるのは当然のことなので、それならもうちょっと上の価格帯のほうがお得感が出そうです。
そこで目に留まったのがこちら。
引用元:Thomann
「MultiScale-7」の名の通り、25.5〜27インチのマルチスケール(ファンドフレット)を採用した7弦ギターです。
ボディトップは(もちろん薄い突き板でしょうが)バールメイプル、さらに指板がローステッドジャトバというのも興味をそそります。
リバースヘッドなのもいいですし、しかもペグがロック式です。私はギターの弦交換が大の苦手で、過去に持っていたギターはほぼロックペグに交換していたので、これはポイント高いです。
こちらが本体価格250ユーロ(≒34,005円)。
ここに(なぜか先ほどと微妙に違う)送料75ポンド+UPS Expressの90.29ユーロを足して、合計金額は431.84ユーロ(≒58,720円)となりました。
スペックの面白さを考えればまあまあアリな値段ですが、うーん…
ところでこのギター、さっきの7弦とはデザインがかなり別物ですね。というかなんか妙に見覚えがあります。
さてはと思い、裏面の画像を拡大してヘッド裏を見ると、MADE IN VIETNUMの文字が。
Harley Bentonは中国製も多いようですが、どうやらこのギターに関してはベトナムのInyen Vina(IYV)製です。
Inyen Vina ISFF7-400
ご存じの方もいらっしゃる通り、私は数年前に、IYVが狭い範囲で話題になるきっかけをつくった発端です。
当時はECサイト等での流通はありませんでしたが、現在はアメリカのネットオークション最大手であるeBayに「IYV USA」として出品しています。
USAと銘打ってはいるものの、発送元はベトナムとなっており、発送先を基本的に米国内としている模様です。
ここに予想通り、ボディカラー以外は同じ仕様の「ISFF7-400」というギターがありました。
引用元:eBay
ただ、画像右下の「日本には配送されない可能性がある」との注意書きのとおり、eBay内で購入しようとしても「この出品者はこの商品を日本へは配送していません」というメッセージが表示されてしまいます。
そこで、この件で久々にIYVに問合せをしてみると、「久しぶりだな、日本から購入可能だよ、送料はFedExで140.9ドルだけど週ごとに変動するからね」との回答が得られました。
となると、本体186.7ドルに送料140.9ドルで、合計は327.6ドル(≒43,831円)。
Harley Bentonの同じやつより15,000円安いやんけ!(※実際の合計金額は後述)
結局おなじみの国際送金
この回答を得てから数日悩んだのち、私は「購入することにしたので支払い方法を教えてくれ」とIYVにメールを送りました。
eBayで買えるようにしてくれたらカード決済なりPayPalなり使えるのになあ、と思っていたのですが、やはりというか何というか、一部でおなじみの新韓銀行ベトナムホーチミン支店への国際送金でした。
eBay内で取引が完結するようにするのは色々と面倒があるようです。
その後、eBay内での決済に対応したようなのですが、本当に下記の送金手続きが不要になったのかまではちょっと分かりません。すみません。
今回の送金にはゆうちょ銀行を使いました。
数年前には手数料はそんなに高くなかったのですが、2022年8月現在、窓口で海外送金をしようとすると手数料が7,500円もかかります。
それに対し、ゆうちょダイレクトからの送金であれば、手数料は半額以下の3,000円で済みます。
事前に郵便局でマイナンバーを貯金口座に登録しておく必要がありますが、それさえ済ませておけば自宅で送金手続きができるので楽です。
また、国際送金が窓口からできるのは大きい局だけですが、マイナンバーの登録だけなら基本的にどこの郵便局でもできるようなので、その点でもゆうちょダイレクト一択でしょう。
数年前と比較すると、どこの銀行も海外送金の窓口手数料がかなり高くなっており、「ネットバンキングを使えば安い」という運用になっています。
また、口座へのマイナンバーの登録は必須です。
しかし、考えていた数日のうちにまた円高が進み、しかも決済ページではそこに上乗せがあるのか基準となる日がずれるのか何なのか、1ドル137円台での換算になってしまいました。
ここで決済した金額は、最終的に手数料を含め、日本円で47,992円となりました。
まあそれでも5万円切ってるしいいよ。色はHarley Bentonの方がかっこよかったのが心残りだけど…
と、ここでふと思いました。
前にもそういうことがあったけど、これ在庫してるのを売ってるんじゃなくて実は注文に応じて作ってるのでは?
私は試しに、送金手続きを終えたことを伝えるメールで、「ところでこのHarley Bentonのギターも君らが作ってるんじゃない?色はこっちの方が好きなんだよなあ、もちろん納得して支払い済みだから変更できなくても文句は一切ないんだけど、これHarley Bentonの方の色を在庫持ってたりしない?」的なことを聞いてみました。
すると、「OK、それと同じ色で作ってあげるよ」との返信が。
俺あんたらのそういうところ本当に好きだよ。
発送から到着まで
送金手続きから3日後、「着金を確認したから発送したよ」との連絡がありました。
発送したの?もう?確かに「作る(make)」って言ってたよね?
しかし、FedExの追跡番号を確認すると、確かに既にホーチミンから発送済みとなっています。
まあ、今更この程度のことでびっくりしていてはいけません。
たぶん今はそんなに忙しくないだろうし、そう考えるとこのタイミングも何かの縁という気がしてきました。
仮に色の件を忘れられてても文句は言わんよ、無理言ったのはこっちだしね。(ロックペグじゃなかったりしたらさすがに怒るが…)
翌日にはシンガポール、インドネシアのジャカルタ、タイのサムットプラカーンを経由し、その次の日には中国の広州市を経て、大阪の泉南市(関西国際空港?)に到着。
特に足止めもなく、1日経過後には国内の配送業者に引き渡され、結果として発送連絡から4日後にはもう受け取ることができました。
ちなみに自宅まで届けてくれたのは西濃でした。
というわけで、初めてドイツから楽器を輸入しようとしたら結局ベトナムだった話でした。
実際に届いたギターのレビューは別記事で書こうと思います。書きました。↓