【レビュー】Custom Audio Japan DC・DC Station Ⅱ

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小型のエフェクターボードにアナログとデジタルのエフェクターを混在させるうえで必要になるのが、省スペースなアイソレート型パワーサプライです。
そのような機種は意外と少ない中、2020年にCAJがDC・DC Stationを発売しました。
そして翌2021年、1年強という早さで発売された後継機種が、今回紹介するDC・DC Station Ⅱとなります。
私は両方とも所有していたので、比較も含めてレビューしていきます。

「独立型」「アイソレート」という言葉

エフェクター用のパワーサプライについては、「アナログエフェクターとデジタルエフェクターを両方ボードに入れる場合、独立型のパワーサプライを使わないとノイズが乗る」ということが広く知られるようになっています。
しかし、「出力が独立(アイソレート)したパワーサプライ」とされている製品でも、実際には物によって内部構造がかなり異なるようで、ノイズを防ぐ性能についてもピンキリです。
私は回路に関する知識が無いのでそのあたりは正直よく分かっていないのですが、電気関係に詳しい人と話すと、「各DC出力が本当に独立しているならVooDoo LabのPedal Powerぐらいのデカさにならないとおかしい」という趣旨の話を聞くことも多いです。

ともあれ、メーカーが「独立型」とか「アイソレート」と銘打っているものであれば、「少なくとも一定程度は」デジタル・アナログ混在によるノイズを防いでくれると考えていいでしょう。
このDC・DC Stationも、サイズ的におそらく簡易的なアイソレートパワーサプライなのではないかと思われます。

AC/DC Stationとの違い

CAJが従来から販売しているパワーサプライといえば、「AC/DC Station」シリーズ(白いやつ)です。
このシリーズは、一貫して「リニア方式のアダプターによって低ノイズを実現」という点を売りにしてきました。

ただ、AC/DC Stationはアダプターの特性ゆえ、供給できる電流は450mAまで。
さらに、独立式パワーサプライでもないため、デジタルエフェクターを含むエフェクターボードの電源としては不足感があります。
バージョンアップを繰り返しながら長年発売されているAC/DC Stationシリーズは、アナログエフェクターで音にこだわるプレイヤーに向けたパワーサプライだと言えるわけです。
(※とあるブログが「DC・DC Stationの発売に伴いAC/DC Stationは生産完了」と記載していましたが、完全な誤りであり、そもそもの製品コンセプトから別物です)

これに対し、スイッチング式のアダプターを採用し、新たに独立式パワーサプライとしてラインナップされたのがDC・DC Stationです。
100mA出力が6口、500mA出力が2口と、合計8台ぶんの電源供給が可能となり、消費電流の大きいデジタルエフェクターにも対応可能。
また、現行のDC・DC StationⅡでは、6口の供給電流が100mAから150mAにアップしています。

また、500mAポートから出力される電圧がメーターに表示されるのも大きな特徴です。

旧型からの変更点

旧型のDC・DC Stationですが、実は「アダプターを振るとカラカラ音がする」というちょっと怖いことがありました。
私は一度返品交換してもらったのですが、交換後のものも同様でした。
まあ自分以外でこの点に言及している人を見たことがないですし、それとは全く関係ない可能性が高いですが、ともあれ1年強という早さで新型のDC・DC Station Ⅱが発売されたことになります。

その変更点として、先に書いたとおり、6口ある9V/100mA出力端子の供給電流が150mAに増加しています。
あとの2口は9V/500mAで変更なしです。

また、複数端子を1つにまとめてアンペア数をアップできるCurrent Doubler Cableと、電圧をアップできるVoltage Doubler Cableが付属します。
個人的にはこの手のケーブルによる昇圧はちょっと怖いというか、(別の製品ですが)異常発熱を経験したこともあったりするのであまり積極的に使おうとは思わないのですが、18Vで駆動できるエフェクターなんかがあるときに実際に試せるのは便利ですね。

そして、地味ではありますが個人的に非常に意義のある変更点が、付属アダプターのプラグ部分の形状がストレートからL型になったことです。

旧型DC・DC Station、「スリムな筐体で省スペースに電源供給」みたいな見た目してるくせに、アダプターのジャックが場所を取るせいでそのメリットが完全に殺されてたんですよね。
見てくださいこれ。
一番左の電源アダプター入力部、ここがストレートプラグだったせいで、エフェクターボード内でギチ詰めすることができなかったわけです。

まあ、実際のところパワーサプライとエフェクターは少し離した方がいいと思っているのでそれはそれで、という感じではあったのですが、現行のDC・DC Station Ⅱではその点が改善されています。

あ、あと付属アダプターを振っても変な音がしなくなりました。安心!

実際に使った感想

気分の問題かもしれませんが、私は個人的に、無名メーカー製の安物パワーサプライはちょっと怖くて使いたくないと感じてしまうタイプです。
「別に有名メーカー製品であろうと今時は中国製だし、大して変わらないでしょ」という意見もあると思います。
が、やはり一部の安いパワーサプライは「アイソレート出力と称していても、特定のエフェクターとつないだ時に妙にノイズが出る」という問題が実際に起こります。

一方、旧型から含めてDC・DC Stationではそのような問題が今のところ起こっていません。
また、(もちろんエフェクターが駆動に必要とする消費電流を満たしているという条件下ではありますが、)マルチエフェクターを繋いでも特に問題なく動かしてくれています。

安物パワーサプライよりは少し高いと感じるかもしれませんが、この省スペースでこの機能ということで、価格も含めたバランスが非常に良いと感じる製品です。

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