私は診断済みの発達障害(ASD)で、こだわりが強いというか心配性というか、「自分の選択が正しいか自信がない」と常に考えてしまう節があります。
そんな自分にとって、ギターやベースの音作り、しかも録音して形に残すともなれば「いつまでたっても音作りが決まらない」ということになりかねず、あえて選択肢を減らすのが有効だと考えました。
そこで、以前から気になっていたBOGREN DIGITALのAMPKNOBを導入することにしました。
DTMにおけるアンプシミュレーターの利点と欠点
ギターアンプ・ベースアンプに限らず、DTMにおけるプラグインの利点は、実機では高価過ぎて手に入らない機材や世の中に存在しない機材をDAW上で好きに使える点にあると言えるでしょう。
その一方、「本物のアンプにはない機能まで追加され、あらゆるパラメーターが調整できてしまう」とか、「ブースター1つとっても何十台の中から選ばないといけなくなる」という、自縄自縛となりかねない過剰な選択肢の多さも問題です。
私が使っているDAWはPreSonusのオーディオインターフェースにバンドルしていたStudio One Artistですが、その付属アンプシミュレーター「Ampire」でさえ多機能すぎてなにをどうしたらいいやらとなる始末でした。
そこで、使っている人を見て気になっていたのが、主要なコントロールがゲインノブ1つのみというBOGREN DIGITALの「AMPKNOB」シリーズです。
キャビネットシミュレーターの機能も含まれているので、単体アンププラグインとしての出音さえ気に入ればあとはゲインを好みに調整するだけです。
しかもこのシリーズ、単に操作が楽なだけでなく、サウンド面でも「本物のアンプを弾いているような手応えがある」と評価されていました。
AMPKNOBのどれにするか
SNS上で交流のある人が使っているのをよく見かけたのが、シリーズの中でも最もエクストリームメタル寄りのチューニングが施されていると思われる「AMPKNOB - BDH 66o6+」です。
(↓その友人の動画)
ただ、これは本当に「メタル専用の単機能のギターアンプ」という感じです。
もっとこう、「クリーンもクランチもディストーションもいけて、リバーブも含めて単体で完結する」みたいなのがいい。
ギターソロ用に別途何か考えないといけないのも面倒です。
と、ちょうどいいタイミングで発売されたのが、BOGREN DIGITALとTRIVIUMの弦楽器隊3人がタッグを組んだ「AMPKNOB TRIVIUM」でした。
「RHYTHM」はクリーン・クランチ・ハイゲインの3段階切り替えで、クリーン時だけ効くリバーブも備え、キャビネットはMODERNとVINTAGEの切り替えが可能。
「LEAD」はギターソロ用で、これのディレイはBPMに同期させることも可能。
そして「BASS」はベースアンプです。
この3つのバンドル版が安くなっているタイミングがあったので、キイチ世代としてはこれで行くかということで、ギター・ベースのレコーディングにこれを導入したのです。
【※余談:キイチ世代(昭和60年度生まれ)によるキイチ推しの話↓】
AMPKNOB TRIVIUMのレビュー
私自身アンシミュプラグインについては全く詳しくないので、正直なところレビューも何もないのですが、欲しい音に最短距離でアクセスできてめちゃくちゃ時短になったというのは間違いありません。
今回録音した自作曲のギター・ベースパートは、ほぼ全てStudio One付属のコンプをかけた後に各AMPKNOBを通しただけで、それ以外のエフェクトはほとんど使っていません。
AMPKNOBはゲインの調整によって歪み具合が変わっても音量は自動でほぼ最適化されるので、「ゲイン上げたからボリューム下げなきゃ」のようなことを気にする必要がありません。
特にギターアンプの2つは音色の幅も広く(※メタルに使うという範疇の話)、何もいじらなくても十分すぎるレベルで使える音でした。
ベースアンプだけは、これは同じ意見の人を見かけましたが、先に発売されていた無印BASSKNOBの方が使い勝手がいいと感じます。TRIVIUMのBASSKNOBはアタックがちょっとディンディンいうわりにモダンな音質でもなく、DRIVEオフでも歪み感が出始めるのが早いです。(とはいえ当然のようにTRIVIUM RHYTHMとの相性はいい)
というわけで、これは私がベーシストなので余計にそう思うのかもしれませんが、特にギターアンプの「RHYTHM」「LEAD」はギターの音作りに詳しくない人でも迷わず悩まずバシッと音が決められてめちゃくちゃ便利だと感じました。
初心者向けに出ている製品というわけではないですが、DTMでメタルをやっている人で作業時間を短縮したい人にはかなりオススメだと思います。
一つだけ買うなら、やはり万能型であるキイチのRHYTHMでしょう。