ここ数年でインターネット上の広告の在り方には大きな変化があったように思います。
リアルの市中で目にする広告に関して、絵柄の好みや性別による感じ方の差異による炎上騒ぎが起きたりもしていますが、ウェブ広告にはそれとは異なる性質の問題があり、私自身この数年でウェブ広告への距離の取り方を変えてきました。
当サイトおよび前身サイトを含めた私のサイト運営の振り返りを兼ねて、昨今のウェブ広告について考えてみようと思います。
「ブログブーム」の光と影
過去に「ブログブーム」と呼ばれ得るムーブメントは複数回ありました。
かつてSNSが登場する以前、タレントがブログを開設するのが流行し、誰もがインターネット上で文章を発表できる「ブログ」というウェブサービスは広く一般化しました。
ブログをテーマに取り上げたバラエティ番組やテレビドラマも放送されました。
しかし、私がここで言及する「ブログブーム」はそういうものではありません。
2010年代中盤から後半にかけて、「ブログは稼げる」と扇動する人たちと、それに乗せられた人たちによる異常な盛り上がりが発生したアレです。
私はその末端で、一応当事者としてブログを開設した身なので、いわゆる「ブログと広告の関係性」のようなものは一通り見てきたと思っています。
実際のところ、あの頃の「金稼ぎが主目的にしか見えないブログブーム」において、ブログは確かに稼げるものでした。
そのあたりの情報を多少なりとも追っていた人なら、イケダハヤトの当時のブログタイトル「まだ東京で消耗してるの?」という煽り文句を覚えている方も多いでしょう。
それに乗せられて会社を本当に辞めてしまった人、さらには「新卒フリーランス」と称する大卒無職まで出てきた始末でしたが、分不相応な夢を見てしまう人が続出するほどに、当時の「ブログで稼ぐ」のハードルは低かったのです。
私はまさにその頃に一時的に無職になってしまったこともあり、求職活動の傍ら、空いた時間でブログを書いていました。
ベースに特化した機材レビューブログ「ベースエフェクター研究室」と、自身の発達障害について綴った「波の下にも都はあるんだよな…」という2つのブログです。
さほどアクセスの見込めない内容なうえ、頻繁に更新していたわけでもありませんが、そのレベルでも月数万円の広告収益がありました。
(※自慢のように聞こえるかもしれませんが、これが無ければ私は今生きていません)
しかし、そんなヌルゲーのような時代が長く続くはずもありません。
ブログの収益はGoogle検索で表示される順位に大きく依存しますが、Googleの検索アルゴリズムは2010年代後半に大きく変化し、ざっくり言うと「大企業のサイトほど強い」「個人サイトは弱い」傾向が顕著になりました。
結果、「個人がブログで稼ぐ」を謳っていた層はごっそり淘汰され、YouTuberやSNSインフルエンサーにうまく転身した人を除き、当時よく名前を目にした人たちの大半がどこかに消えてしまいました。
あの時に変に大成功せず、真面目に再就職する道を選んでおいて本当によかったと今は思います。
「ウェブサイトに広告を貼ってお金を稼ぐ」とは?
さて、ウェブ広告の現状について書く前に。
インターネット上の広告がどのような仕組みなのか、実は詳しくは知らないという人も多いのではないかと思います。
そこで、「(ブログを含む)ウェブサイトに貼られた広告から収益が発生する」理屈について、定番の2種類の広告を簡単に説明します。
世の中のウェブサイトに表示されている広告は、ほぼ「クリック報酬型広告」か「アフィリエイト広告」のどちらかです。
①クリック報酬型広告とは?
現在ネット上にあるウェブサイトには、個人ブログから新聞社が運営するニュースサイトに至るまで、「ページ上部にある横長のバナー広告」や「記事の途中に挿入される四角い広告」、場合によっては「再生しないと続きが読めない動画広告」など、クソ邪魔な広告がいくつも表示されていることはご存じの通りです。
私たちが日常的に目にしているこれらの広告画像の多くは「クリック報酬型広告」と呼ばれるものです。
その名の通り、広告がクリックされるだけで、少額ではありますがサイトの運営者に広告収入が入ります。
このタイプの広告の中で最も主流なのが、Googleが提供しているGoogleアドセンスです。
私も以前のブログではGoogleアドセンスを利用していました。
②アフィリエイト広告とは?
「アフィリエイト」はなんとなく聞いたことがあるかもしれませんが、実は仕組みをよく知らないという人も多いのではないでしょうか。
アフィリエイト広告は成果報酬型の広告で、原則、ただクリックした人がいるだけでは収益は発生しません。
広告をクリックした人が実際に会員登録や商品購入をして初めて、サイト運営者に報酬が入る仕組みです。
このアフィリエイト広告の分かりやすい例が、いわゆるランキングサイトです。
競合する多数の商品や、クレジットカード、転職支援サイトなどを比較紹介して、購入や申込みを促すボタン(アフィリエイトリンク)が配置されているアレです。
このようなサイトに貼られたリンクを読者がクリックし、実際に商品購入やカード契約などを行えば、事前に定められたアフィリエイト報酬(要は紹介料)がサイトの運営者に支払われる、という仕組みです。
また、ガジェットブログや音楽機材ブログなどで、Amazonや楽天市場といった通販サイトへのリンクが貼られているのをよく見ますが、これもアフィリエイトの一種です。
これは「物販アフィリエイト」という手法で、リンクを踏んで通販サイトにアクセスした人が一定期間内に商品を購入した場合に、その金額の1%~2%程度がサイト運営者の報酬となります。
ブログ記事の商品紹介に通販サイトへのリンクが貼ってあるのはただの親切心ではなく、それによって収益が発生する仕組みがあるのです。
このブログでもアフィリエイト広告については継続して掲載しています。
アドセンスをやめた理由
自分でサイト運営してるのに書いちゃいましたが、めちゃくちゃ邪魔ですよね。広告。
当サイトは既存のブログサービスではなくWordPressを使って運営しており、大した額ではないとはいえ、レンタルサーバーやドメインの維持費がかかっています。
せめて赤字にしたくはないので、泡沫とはいえウェブサイト管理人の立場からすると、広告ブロッカーを使ったりするのは控えてほしいところです。
私レベルですらそうなのですから、規模の大きなサイトになるほど運営には多額の費用がかかるわけで、大手サイトに広告がベタベタ貼られるのはまあ仕方ないことではあります。
が、それにしても今のウェブ広告は酷すぎる。
数年来、記事の本文を覆い隠すほど過多な広告や、人の見た目上の問題点を極端に煽る不快な「コンプレックス広告」が不評を買っていますが、加えて最近は無遠慮に表示される性的コンテンツの広告が問題視されています。
近時のネット上の炎上騒ぎを目にした方もいると思いますが、それこそレシピサイトで材料と作り方の間に性的な内容の広告が挟まったりしているわけです。
これに対する批判について、「そういう広告がよく見られてるんだから仕方ない」「それによってサイトが維持されてるんだから文句を言うな」、果ては「広告を叩いて取り下げさせるのは表現規制に直結する」などと広告側を擁護する人までいましたが、いや、表現規制を避けるためにこそそんな広告はきっちりゾーニングしないといけないでしょう。
で、これは実際にサイト運営をやったことがないとなかなか伝わらないのですが、実はこの「変な広告を表示させないようにする」のが物凄く面倒臭いのです。
サイト運営者側で広告表示にフィルタリングをかけることは当然できるのですが、アダルト広告を表示しない設定にしても、それをすり抜けて明らかに性的な内容の広告が表示されることがあります。
それ以外にも変な広告、自分のサイトに出したくない広告というのは色々あるのですが、私がアドセンスをやっていたときの規模でさえ、1日に100件近い広告画像が新たに配信されていました。
毎日すべての画像を目視して変な広告を弾くのはほぼ不可能で、なればこそ広告事業者がちゃんと対応しないとおかしいのですが、要はウェブ広告の審査があまりにザルすぎるんですよね。
アダルト産業を否定する意志は一切ありませんが、真面目に書いた音楽制作記事に性的な広告が表示されるのは本意ではありません。
あるいは、例えば発達障害について書いた記事に「オーガニック野菜で発達障害を治そう!」などという虚偽広告が表示されてしまう可能性も大いにあるのが現状です。
そのような事象をコントロールできない、事前に排除できないのが嫌で、当サイトに移行してからはアドセンスのようなクリック報酬型広告を載せないようになりました。
サイト移行の裏話
という経緯で現在、このサイトではベタベタと広告が表示されるようなことになってはいないのですが、実は2つの旧ブログを当サイトにまとめたのにはいくつか理由があります。
表向き最大の理由は、1人バンドとして音楽制作を真面目にやっていくぞ、という決意表明のようなものです。
ただ、それだけなら今時わざわざ独自ドメインを取得までするのは必須ではありません。
実は、私が以前やっていた2つのブログは、原因に見当がつかないGoogleのペナルティにより、全く検索に引っ掛からなくなっていたので閉鎖することにしたのです。
2023年の夏頃までは2サイト合計で毎月25,000~30,000PVあったアクセスが、突如10,000PVを切るまで激減。
その後も回復することなく、2024年5月には合計5,000PV程度まで落ち込んでしまい、特にエフェクターレビューは日本語で記事を書いているのが自分しかいないエフェクターの検索結果でさえ、詐欺サイトよりも遥か下にしか表示されなくなってしまいました。
これにより、運営経費の削減も兼ねて過去ブログの記事を新規サイトに統合すること思いつき、新たに立ち上げたのが当サイトです。
現在の月間PVは10,000前後まで回復しており、検索にもだいぶ上がってくるようになりました。
これ、「結局金かよ」という話では決してなく、「せっかく書いた文章が検索しても出でこずに必要な人に届かない」のって心折れるんですよ。
何もかもGoogleに支配されているようで癪ですが、今後も「調べても分からないから試してみた」ような雑多な話を書いて行ければと思っていますので、気になるネタがあれば読んでいただけると嬉しいです。